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精巣(睾丸)の温度が上がるのはどんなときでしょうか?
精巣の温度は1-1.5℃上昇すると、精子形成には大きな影響があり精液検査の結果が悪くなる(精子濃度が減ったり、精子運動率が悪くなったり、形態不良精子が増えたりする)ことが知られています。

また、精巣の温度が上昇すると、DNAが断片化した精子の割合が高くなり、「精子力」が低下する事が知られています。

それでは、どのような状態が、精巣の温度を上昇させるのでしょうか?
①高熱が続く(感染症や膠原病や血液がん)
②高温環境で働く(ボイラーマン・溶鉱炉の近くでの勤務)
③長時間のサウナや膝の上での長時間のパソコン操作
④精索静脈瘤
⑤肥満

などが考えられます。

この中で、日常生活中に精巣の温度が上昇する可能性のある状態が④⑤であると言えます。

これらの状態と、精巣温度の関係はどうなっているのでしょう?

精巣の温度を直接測るわけにはいかないので、陰嚢の皮膚温を測定するのが一般的です。

正常対照者と左精索静脈瘤の有る男性と肥満男性の陰嚢皮膚温を24時間モニターして比較検討したデータがあります。(Garolla A, et a. Hum Reprod.2015;30:1006-1013)

これによれば、左精索静脈瘤のある男性と肥満男性は、正常対照の男性に比較して、陰嚢皮膚温が高いが判りました。(図1)※画像をクリニックすると拡大表示されます。

figure1

精索静脈瘤のある男性では正常対照の男性を比べて、左で約0.8℃、右で約0.6℃高く、肥満の男性でも左右とも0.7℃程度陰嚢皮膚温が高いことが判りました。また、この2つの状態で、精液検査の結果も悪い事が判りました(表1)。※画像をクリニックすると拡大表示されます。

Table1

精索静脈瘤と肥満は、是正できる不妊要因ですので、積極的に治療する事が大事です。
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