- 奇形率が高めで子供が障害を持って生まれてくる確率が高くなるのではないかと不安です
- 夫の精液検査を受けたところ精液量(1.0ml)・運動率(39%)・奇形率(21%)の結果が悪く人工授精を進められました。6回程行って結果が出なければ体外受精になるとの事です。排卵日には、人工授精だけでなく、性交も行って下さいと言われましたが、奇形率が高めと聞き、子供が出来ても障害を持って生まれてくる確率が高くなるのではないかと不安です。
また、この精液検査の結果から人工授精で授かる確率はどれくらいありますか?今後、体外受精に進んでいくと金銭的に準備しておく必要があるので教えて下さい。
夫は人工授精・体外受精には賛成してくれましたが、泌尿器科に行くのは反対です。ですから、夫の検査結果が少しでも良くなるように、食事や日常生活で改善出来ることはしようと思いますがどのような方法がありますか?夫は、たばこは全く吸いませんがお酒は毎日1~2缶飲みます。うなぎ・かき・黒ごまが良いと聞きましたがお勧めですか?
- 奇形精子(形態不良精子)がいることで、生まれてくる子どもが奇形を持って生まれてくることはありません
- 精液検査の結果が悪かったとのことですが。精子濃度のデータがありませんので、はっきりとしたお答えをするのは難しいのですが。一般に、精子運動率が低い場合は、精子濃度が低く、精子奇形率が高い傾向があります。ここでは、精子濃度も低いと仮定してお話しいたします。
精子の奇形率というのは、精子の頭部(頭の部分)が変形していたり、小さかったり、とんがっていたり、球形であった、精子の尾部(おっぽ)が短かったり丸まっていたりして、理想の精子の形と異なっているものの割合を指しています。お子さんのいる人の精子を調べても、全ての精子が正常な形をしていて奇形率0%の男性はおりません。すべての人の精液中には形の悪い精子が混じっているのです。
ここで、まず注意が必要なことですが、最近は奇形率という表現を最近は使用しないようにしています。一番の理由が、奇形という言葉が、奇形児をイメージさせるからです。
こうした混乱を防ぐ目的で、最近は精子奇形率とは言わず、正常形態精子率(正常な形をした精子の割合と言う意味です)を用います。
そして、この正常形態精子率を算定する方法ですが、精子の標本を特殊な染色をしてからでないと正しく判定できません。精液検査の結果がその日のうちにすぐ出てくるようでしたら、この染色をおこなっての正確な検査は行なわれていません。従って、21%という値は参考値として考えるべきでしょう。その施設の正常値は解りませんが、そんなに高い値では無いと思います。
ご相談のもう一つのものですが。奇形精子(形態不良精子)がいることで、生まれてくる子どもが奇形を持って生まれてくることはありません。
そもそも、形態の悪い精子は機能も悪いため、授精能力が低いと考えられています。従って、一般には形態の悪い精子は受精にかかわりません。ですから、21%と言う数値で余りお悩みになる必要はありません。
人工授精での妊娠率は5回ないしは6回で頭打ちになることがしられていますので、人工授精を6回して、良い結果が出なければステップアップをするのは理にかなっていると思います。
うなぎ・かき・黒ごまに関しては、ビタミンA, E, 抗酸化作用、亜鉛の補充という意味で摂取するのは、良いと考えます。しかし、これらの食品ばかり食べるわけにも行きませんので、ビタミンA, E, 抗酸化作用をもとめるのであれば、サプリメント(SOサポートなど)のほうが十分な量を摂取できますのでお薦めです。
最後に、ご主人が泌尿器科受診をするのをためらわれているとの事ですが、不妊症のクリニックに併設されている男性不妊外来を受診してみるのが良いでしょう。このとき、奥様とご一緒に受診されることをお薦めいたします。最後に一言、男性不妊を専門にしている泌尿器科医は、男性(ご主人)の味方です。
敷居は低くしていますので、是非ご一緒に受診してください。きっと役に立つ診察が待っています。
このお返事がお役に立てれば幸いです。
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