アルコールと妊娠に関する最新文献 2017

2017.08.20 | 不妊症全般, 新知識

これまでにも、アルコールと妊娠に関係がある・関係がないなど様々な報告があります。今回は、同一国内で行われた2つの最新の論文を見てみましょう。
デンマークで行われた、インターネットを利用した、前向き研究があります。2007年6月から2016年1月までに9497人の女性が登録し、最終的に6120人のデータが解析対象になりました。
参加者は、男性パートナーとの関係が良好で、明らかな不妊原因や不妊治療歴がないことが条件とされました。
まず、身長体重などの基礎的身体情報・教育水準・収入・喫煙・性周期・週間のセックスの回数・タイミング法の使用の有無・妊娠歴を登録し、子どもを作ろうとし始めてから妊娠するまで(12ヶ月以内)ないしは12ヶ月間は、2ヶ月毎に、その前月のアルコール摂取についてレポートをインターネット経由で送りました。・・・これはかなりの困難を伴う研究です。
アルコール摂取量は以下のように定義されました。
1杯:ビール1瓶(330ml)、グラス一杯の赤または白ワイン(120ml)、デザートワイン(50ml)、スピリット類(20ml)
この結果、自然妊娠にとっては、アルコールを飲まない~中等度(1週間に13杯まで)は、妊娠率に大きな影響はないことが判りました。
また、飲んだアルコールの種類によっての、差はないこともわかりました。週間14杯異常のヘビードリンカーでは、相対妊娠率が低下するのですが、特に非経産婦・タイミング法を行っている女性で傾向が顕著でした。(表1)

Table1

全体の相対妊娠率をグラフ化すると(アルコールを飲まない人を1とする)と図1の様になり、信頼区間の幅は広いものの、1週間のアルコール摂取が10杯程度から、妊娠率が低下すると考えられます.

Table2

結論としては、多数の女性が参加した前向き研究では、10杯程度と超えるアルコール摂取は、自然妊娠には悪影響があるという事です。
しかしながら、この研究からは、なぜ妊娠率が下がるのかは不明です。生活習慣に関係した事柄が、いかにして妊孕性に影響を与えるかを解明するのは、なかなか難しいことだと言えます。

2017年7月に、同じデンマークから、男性または女性のアルコール摂取が、体外受精の妊娠率に与える影響について、後ろ向きの調査を行った報告が出されました。Vittrup I, et al.Reprod Biomed Online. 2017; 35: 152-160
これによれば、体外受精を受けた12981人の女性が29834周期の体外受精を受け、アルコールを飲まない人で22.4%、アルコールを1週間に7杯以上飲む人では20.4%で子どもが生まれました。
また、男性の場合はアルコールを飲まない人のパートナーは22.6%で子どもが生まれ、1週間に14杯以上飲む人でも20.2%でした。この両者には差がありませんでした。
つまり、不妊治療としての、体外受精をしているカップルにとって、アルコールを飲むことは、必ずしもマイナスに働いていないという結果でした。
アルコールはまさに「百薬の長」と言えます、しかし「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」です。適度にすることが大切でしょう。

「1回のセックスで、妊娠する?」というのは、どのくらいの割合であることなのでしょうか?

2017.08.19 | 不妊症全般, 新知識

WHOの定義では、1年以上避妊をしないセックスを続けていても、妊娠に至らない場合を不妊症としています。すなわち、健常なご夫婦であれば、12周期(月経周期:約1か月が1周期)でほとんどが妊娠すると考えられています。
実際には、どのようなデータがあるのでしょうか?
ドイツで行われた、大規模な前向き研究結果が2003年に公表されています。
男性パートナー・女性パートナーのいずれにも、不妊原因となるものがないカップルで、自然妊娠で子供を授かるために、セックスをした場合に、妊娠するためにどのくらいかかるのかを調べました。
346人のカップルで、自然妊娠を目的として、基礎体温・子宮頚管粘液の自己チェックで、排卵日を予測して、セックスするいわゆるタイミング治療を行い、妊娠しない場合は最高21周期まで、経過を観察しました。
この結果、最終的に304人が妊娠しました。
累積の妊娠率を、周期ごとにグラフにすると 図1のようになりました。

Figure1

この中で、最終的に21周期以内に妊娠した304人についての累積妊娠率は( )で示してあります。
1周期で38%、3周期で68%、6周期で81%、12周期(約1年)で92%のカップルで妊娠しました。
自然妊娠を目指したカップルの約40%が、タイミング法開始した直後(1周期目)に妊娠するというのは、かなり衝撃的です。
さらに、女性パートナーの年齢と累積妊娠率の関係をみると、35歳を超えると自然妊娠を試みた各周期で、35歳以下よりも妊娠率が低い事がわかりました(図2)。

Figure2

健康なご夫婦でも、35歳問題は大問題です。

がんの患者さんでは、精子力が下がりますか?

日本人の2人に1人(半数)が一生のうちに何らかのがんに罹ると推計されています。
がんは現在ではとても身近な存在です。その中でも、血液がん(白血病・悪性リンパ腫)・精巣がん・大腸がんなど青年期から壮年期の男性がん患者さんが増えています。この年台は子どもを授かろうとする、生殖年齢に一致しています。
このような患者さんの精子力はどうなっているのでしょうか?
もちろん、これらのがん患者さんで、病状が思わしくなく命の危険がある状態での精液検査を行ったデータはありません。がん患者さんで、治療開始前や治療中に精子凍結保存を希望してこられた場合のデータは、少数例ずつ報告されています。
この中で、単一施設で最も多い患者さんについての報告をご紹介します。
409人のがん患者さんの、精子凍結保存時の精液検査のデータを比較したところ、精巣がんのみが、他のがん患者に比較して精子濃度・精子運動率・総運動精子数が低い結果でした。
すなわち、精巣がん患者さんでは精子力が低下した患者さんが多いことが判りました(表:クリニックすると拡大表示されます)。

Table1

この原因は、
① 片方の精巣がんから反対側の精巣に向かって、精子形成の邪魔をするような因子が出ている。
② もともと、精巣がんは精子形成障害と共通している遺伝子異常を持っている。
という可能性が、考えられます。
現在、②の可能性が高いという証拠が集まりつつあります。

サウナ好きなんですが、「精子力」に悪いですか?

精子形成は温度に敏感である事は良く知られています。
度々質問される事ですが、日本人はなぜかサウナ好きが増えているようです(図1 日本サウナ総研調べ)。
サウナと精子力 2017.8.115図1
妊活中の男性の中には、サウナを控えるか否かを迷っている方も多いと思います。
サウナの精子力に対する効用ならず、作用を調べた報告を紹介します。
イタリアからの報告です。
10人の精液検査では基準値以内のボランティアに、3ヶ月間80-90℃のサウナに、15分間2回/週入ってもらう習慣を3ヶ月間続けてもらいました。そして、サウナを使用する前・サウナ使用を3ヶ月間続けた時点・サウナ使用を中止してから3ヶ月時点・サウナ使用を中止してから6ヶ月に時点での、精液検査を行い比較しました。さらに、精子DNAの状態や精子のエネルギーを生み出すミトコンドリアの状態や、精子のクロマチンの状態・精子のアポトシースの状態を調査しました。(Garolla A, et al. Hum Reprod. 2013; 28: 877-885)
その結果、サウナに入ると陰嚢皮膚温は、入用前の34.5±0.6℃から37.5±0.4℃に有意に高くなりました。
精子力に対してはどうだったでしょう? 精子濃度、総精子数、前進運動精子率は3ヶ月間のサウナ使用で低下しました。
その他の精液量・正常形態精子率・生存精子率は変化がありませんでした。
サウナ使用をやめて3ヶ月すると、低下した精子濃度と前進運動精子率は元の状態に回復し、6ヶ月サウナ使用を中止すると、全ての測定値が元に戻りました。
すなわち、サウナを週2回使用することで3ヶ月目には精子力は低下しますが、その影響はサウナ使用を6ヶ月以上やめるとなくなるということです。(図2)
サウナと精子力 2017.8.115図2 訂正版
この原因として、ミトコンドリア機能が低下したり、精子のDNAの格納状態が変化したり、クロマチンの濃縮率が低下することが、関係している事を挙げています。
この結果からは、妊活中はサウナはやめた方が良さそうです。

男性不妊患者さんの健康状態について

不妊症の患者さんを診察する時に、過去・現在の病気について尋ねるために問診票を用いています。お子さんを授かりたい人たちですから、もちろんご自身は健康体である方が多きのですが、最近はそうでもない人が多いように感じられます。
例えば、糖尿病を持っていたり、腎臓の機能が低下して血液透析の一歩手前であったり、最近がんが見つかりこれを治療した直後である場合などがあります。
実際に、男性不妊患者さんの健康状態はどうなのでしょうか?
公衆衛生学的に健康状態を捉える指標として、併存病の有無を用いたチャールソン併存病指標(Charlson Comorbidity Index: CCI)がよく使われています。
これは、併存病をその生命予後に与える影響の大きさによって重み付けし、その合計点数で併存病の程度を数字で表すものです。
オリジナルは、1987年にCharlsonらによって開発され、世界中で用いられています。数年おきに改変されたものが公表されていますが、オリジナルのものを用いた研究が最も多く発表されています。

Table1

判定応報は、例えば表1に挙げるように、心筋梗塞と痴呆があり、さらに血液透析を受けている場合は、スコアが1+1+2=4点になります。
このCCIを用いて、男性不妊患者さん(344人)の健康状態を、子どものある(妊孕性のあり)人(293人)と比較した報告があります。(Salonia A, et al Eur Urol. 2009; 56: 1025-1032)
これによれば、男性不妊患者さんでは、CCIスコアが有意に高く、併存病のない(スコア0)の割合が77.3% 対 88.4%で有意に低い事が判りました(表2)。

Table2

併存病が男性不妊の原因なのか、男性不妊という状態が健康状態を示す目印になっているのかは今後の研究が必要です。
ヒトゲノムの15%が生殖に関与していることを考えると、男性不妊と他の疾患に関連があることが想定されます。

不妊治療で男性の診察は必ず必要ですか?

これまでに、たびたび「不妊症はカップルの疾患で有り、女性パートナーだけでなく男性パートナーも、診察を受ける必要がある」と、強調してきました。

その中で、最も大事な理由に「不妊症の男性に精巣がんが多い」という事実があります。

最近は、男性不妊の診察で、精巣や精巣上体の触診に加えて、精巣の超音波検査は必須になっています。超音波診断装置の進歩により、2-3mmの病変でも明瞭に捉えることが出来るようになりました。

獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターでの集計でも、1%以上の患者さんで精巣に超音波検査で腫瘤を認めます(図1)。

figure1

この精巣の小さな腫瘤病変に関する大規模な観察結果が報告されました(J Urol (2017), doi: 10.1016/j.juro.2017.08.004)。

不妊症の診察のため精巣超音波検査を受けた4088人の男性患者を調査したところ、触診では触れないのですが(本人も気づいていない)実に120人(2.9%)に1cm未満の腫瘤を認めました。18人は精巣の腫瘤を摘出するために精巣部分切除を受けました。この結果6人が精巣がん(すべてセミノーマ)と診断され、残りの12人はライディッヒ細胞腫瘍8人、セルトリ細胞腺腫1人、胚細胞無形成1人、硝子化結節1人、良性であるが詳細不明1人でした。精巣がんの6人は全員精巣摘除術を受け、stage 1の早期がんでした。この報告が出された時点では、再発や転移がなく経過していました(図2)。

figure2

この他の102人は、定期的な精巣超音波検査を受けています。そして、大きさが5mmを超えて、増大傾向にあれば手術療法が考慮されることになっています。

精巣がんは、極めて悪性度が高く、治療開始の時期によっては、抗がん剤治療を行っても救命できない場合があります。しかし、早期に発見できればほぼ100%救命できるがんです。

男性不妊外来では、常にこの精巣がんを念頭に超音波検査を行っています。

不妊症そのものは直接命に関わりません、しかし不妊症は精巣がんの存在する可能性を秘めている状態です。不妊症→精巣超音波検査を心にとめてください。2-3mmの小さな状態で発見可能です。

男性不妊症・女性不妊症に関する知識・情報はどこから手に入れていますか?

日本では、6カップルに1カップルに子どもがありません。
このことは、全カップルの1/6(約17%)が不妊症であるという事を意味しているのではありません。子どものないカップルの中には、2人の主義として子どもを持たないという場合も含まれているからです。このような、カップルの意思までも調べたような詳細な研究はこれまでに報告されていません。
さて、不妊に悩むカップル(この場合は、1年以上避妊をしていないセックスを行っているが子に恵まれないカップルと定義しましょう)は、どこから不妊症の診察・治療に関する情報を得ているのでしょうか?

考えられるのは、
マスメディアやインターネット
 書籍
 友人・知人・家族からの口コミ
 医療機関
 学校教育
というところでしょう。

東京大学のMaeda Eri先生たちのグループは、インターネット調査会社と協力して、不妊症に関する情報のリテラシーを検証しました。
具体的には、例えば、『妊娠する可能性は年齢が上がるほど低下する』という正しい知識を有していた3334人について、さらにその正しい知識を得た情報源はどこかをアンケート調査を行いました。
その結果、現在の生殖年齢はデジタルネイティブ世代(生まれたときからデジタル機器に囲まれて生活してきた世代)でる事を反映して、66%は情報源がマスコミやインターネット経由である事がわかりました(図:画像をクリックすると拡大表示されます)。

figure1

しかし、これらの情報源は、必ずしも正しい内容であるとは限りません。
特に、影響力のある有名人(芸能人など)の発する、ツイッター情報などには、思い込みや、自身の経験のみから導き出された、根拠のない情報が満載になっている場合もあります。問題は、本人が意識する、しないに関わらず、大きな影響を有していることです。
このように、気軽に手に入れられる情報があふれている時代だからこそ、正しい情報を選択するプロの力が必要になります。
獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターのような大学附属施設には、これまで以上にしっかりした根拠のある情報のキュレーションと発信が求められています。

太っていると 精子力に影響しますか?

肥満の指数として世界中で用いられているのが、BMI( Body Mass Index)です。計算方法は、体重(Kg)を身長(m)の2乗で割って求められます。
例えば、体重70Kgで身長170cm(1.7m)の人の場合は、70÷1.7÷1.7=24.2となります。
米国で3カ所の不妊症治療施設の男性不妊患者4440人を対象にした、研究結果が公表されました(Bieniek JM, et al. Fertil. Steril. 2016; 106: 1070-1075)。
これまでは、同じような研究は数百例を対象としたものでしたが、今回は報告されている中では最多の患者数を集めたものとなっています。
精液検査の結果(精液量・精子濃度・精子運動率・正常形態精子率)・内分泌検査の結果(LH,・FSH・テストステロン・エストラジオール・プロラクチン)とBMIの関係を調べました。

まずBMIの値によって、患者さんを、やせ(,<18.5)・標準体重(BMI: 18.5-24.9)・こぶとり(25-29.9)・肥満(>30)の4グループに分け、それぞれのグループの、内分泌検査の値と精液検査の値を比較しました。
その結果、血中テストステロン濃度はBMIが大ききなるほど(肥満度が上がるほど)小さくなり、血中エストラジオー濃度ルは逆に大きくなりました。これは、不妊症の人ばかりでなく一般に肥満の人では、脂肪組織でテストステロンがエストラジオールに変換される割合が高いため診られる現象です。血中LH, FSH, プロラクチン濃度とBMIには関連が有りませんでした(表1)。
精液量・精子濃度・正常形態精子率はBMIが大きくなるほど小さくなり(悪くなり)精子濃度も同様の傾向がありました(表1)。

table1

次に、肥満度と精子濃度(無精子症・乏精子症・正常性液濃度)の関連を調べました。
小太りや肥満のグループでは、精液検査で無精子症や乏精子症である可能性が、標準体重である場合よりも有意に高いことがわかりました。また、やせの場合も、精子濃度に異常のある可能性が高い傾向にあることがわかりました(表2)。

table2

この研究は、体重が標準体重である事の大切さを示した結果となりました。
この結果の解釈で重要なのは、米国人の肥満度は驚くほど高いと言うことです。
調査が出来た3787人中、やせは27人(0.7%) 標準体重は966人(25.5% ) 小太りは1853人(48.9%) 肥満は941人(24.9%)と、肥満傾向が強い集団である事に注意が必要です。

日本での2015年の確定値で、20-40歳の男性を調査した結果、やせが20代で8.9%30、代で3.7%、標準体重が20代で64.5%、30代で66.0%、肥満(BMI>25)が20代で26.6%、30代で30.3%と、厚生労働省の国民健康・栄養調査では述べられています。このように、比較的肥満の患者さんの少ない日本人の検討にに、米国のデータが当てはまるか否かは、今後明らかにする必要があります。

さて、①肥満を何らかの治療で解消すれば、精液検査のデータは良くなるのでしょうか?
②肥満を何らかの治療で解消すれば、妊娠率は高まるのでしょうか?
③肥満を何らかの治療で解消すれば、出生率のデータは良くなるのでしょうか?
これらの疑問には、次回お答えいたします。

そもそも、こどもを授かりたいと思っていますか?

不妊症の治療の話題が連日マスコミを賑わしていますが、現在の日本においての「こどもを授かりたい」という希望はどのくらいあるのかご存じでしょうか?
生殖医療における内分泌治療薬を主に扱っている、メルクセローノ社が最近の調査結果を公表しましたのでご紹介いたします。
インターネットを利用した、生殖年齢である20〜40代の男女26,689人(男性13,619人、女性13,070人)を対象とした調査が行われました(図1)

figure1

将来子どもを授かりたいかと聞くと、男女とも約5割が「授かりたい」(男性44.5%、女性45.1%)と回答。性年代別でみると、特に20代女性で「授かりたい」が7割(70.1%)と、より高いことがわかりました。
しかしながら、厚生労働省の人口動態統計によれば、出生数(生まれてきたこどもの数)と合計特殊出生率(女性が一生の間に何人のこどもに恵まれるかを示す指数)は、低下を続けています(図2)。

figure2

出生数は戦後の第1次ベビーブームの時の年間約270万人から平成28年度には年間100万人割れに減少しています。
『こどもは欲しい』と思っているのにもかかわらず、実際はこどもを授かっていない(つくっていない)と言う実態が明らかになった調査結果です。
この原因を追求して、改善することが大事です。

射精しない期間(禁欲期間)は精子の質に影響しますか?

精子の質と禁欲日数に関する研究は、最近少しずつデータが出てきています。
これまでにも、人工受精に用いる精子に関しては、2日以下の禁欲日数の方が3日以上の場合と比較して、妊娠率が高いことが報告されています(Marshburn, PB, et al..Fertil. Steril. 2010; 93: 286-288)(表)。
Table1

それでは、精子の質と禁欲期間の関係はどうでしょうか?

6名の一般精液検査で基準値以内のボランティアで、禁欲期間を1日・2日・5日・7日・9日・11日にして、一般精液検査と精子の質の検査として、精子DNA断片化率(低い方が良い)と精子の活性酸素産生量(低い方が良い)を測定しました(Agarwal, A. et al. UROLOGY 2016; 94: 102–110)。
この結果、精液量、精子濃度、総精子数は禁欲期間が長くなるにつれて、増加することが判りました。精子DNA断片化率は、禁欲日数につれて増加(悪化)することが明らかになりました。WHOは、精液検査を行う上で、推奨している禁欲日数は2-7日であるために、この禁欲期間を、治療に用いる際の精液採取にも採用している施設が多いのですが、これより短い禁欲1日の方が、有意に(p<0.05)精子DNA断片化率が低いことが示されました。(図2,3)

graph1

graph2

前述した人工受精の場合の妊娠率と同様に、体外受精・顕微授精に用いる精子を採取するための禁欲日数も、1日で良いのかも知れません。

我々のリプロダクションセンターで、現在検証中です。

次のページ
PAGETOP