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TESEではなくMD-TESEじゃなきゃ採取できないのでしょうか?
私の主人は無精子症です。睾丸がとても小さい為に無精子症になっていると言われました。いずれMD-TESEで採取して顕微授精をしましょうと言われています。このような場合、TESEではなくMD-TESEじゃなきゃ採取できないのでしょうか。睾丸が小さいから管が詰まっている可能性は少ないという事なのでしょうか。睾丸が小さいだけの理由で無精子症の可能性は高いのでしょうか。造影検査の必要はないという事なのでしょうか。教えてください。



お名前:こころ  性別:女性  年齢:26
結婚歴:1年  不妊期間:1年
これまでに受けた検査:ホルモン検査、精液検査
これまでに受けた治療:タイミング指導
 MD-TESEのほうが精子を採取できる確率が高く、精巣に対するダメージが小さくてすみます
無精子症には、精子はつくられているけれども精子の通り道(精路)に問題があって精液中に精子が出てこない「閉塞性無精子症」と、精路には問題がないが精子をつくる働きに問題がある「非閉塞性無精子症」があります。

ご主人の場合、睾丸が小さいとのこと。また、それに加えてホルモン検査の結果で、FSHが高いようであれば非閉塞性無精子症の可能性が高いと考えられます。

非閉塞性無精子症の場合は、TESE(精巣内精子回収法)よりも、MD-TESE(顕微鏡下精巣内精子回収法)のほうが精子を採取できる確率が高いこと、また、取ってくる精巣組織の量が少ないため、精巣に対するダメージが小さくてすむのでいため術後の男性ホルモンの低下などの副作用が少ないです。ことなどから、MD-TESEがふさわしい方法になります。最も大きなメリットは、手術用顕微鏡で注意深く血管を避けながら手術をするので、余分な精巣組織の損傷が最小限で済むという点です。つまり、MD-TESEは精巣にやさしい手術法であると言うことです。

現在の診断で無精子症であるならばまた、その際には、染色体の分析やAZF遺伝子検査というDNA精子形成に関わる遺伝子の異常を調べる検査を受けることをお勧めします。もしも、約5%の確率で起こりうる、ある遺伝子異常の組み合わせの場合には精子形成がないことがわかっていますので、たとえ、MD-TESEを受けても精子を採取することが出来ないからです。つまり、もしも、そのようなDNA遺伝子の異常であることが予めわかれば、無駄な手術を回避することが出来るわけです。

一方、造影検査ですが、この検査は、現在、行われていません。なぜならメリットがないからです。そもそも、造影検査は閉塞性無精子症が疑われ、それをつくり直す手術、「精路再建術」の際に行われていたことがありましたが、造影剤は精路に悪影響を及ぼし、造影検査を行わなくてもMRI検査や経直腸超音波検査で異常が確認できることが多いため、現在では禁忌になっています。

最後に、アドバイスとしては、MD-TESEは出来るだけ早く受けるのが得策だということ。若いほどMD-TESEによる精子回収率が高く、35歳を超えると低くなってしまうからです。また、MD-TESEは症例が多い(100例以上の経験が必要)ドクターにかかることです。

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