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セックスがうまくできない

ED(勃起不全)

EDとは「性交中に十分な勃起が得られないため、あるいは十分な勃起を維持できないため、満足な性交ができない状態」のこと。加齢や糖尿病などが原因のほか、精神的なストレスやプレッシャーなどによっても起こる。
最近はパートナー(妻)にだけ勃起・射精できない「妻だけED」や、不妊治療のタイミング法が招く「タイミングED」も問題になっている。
これらの治療法には、ED治療薬(バイアグラ、レビトラ、シアリス)の服用があり、「もしものとき」のお守り代わりに持つ人も多い。精神的な不安を解消するには、何よりもセックスに関する正しい情報を身に付けること、そして男性を精神的に追い詰めないような、パートナーの配慮も欠かせない。

射精のしくみ

タイミング法で気をつけること

タイミングED、妻だけED、排卵日うつ

「タイミングED」は、不妊治療で妻の排卵日に合わせてセックスをする「タイミング法」がもとで、勃起や射精がうまくできなくなること。
「妻だけED」とは、妻に対してだけ、セックスがうまくいかなくなるもの。
これらの背景には、不妊治療で行われる「タイミング法」が影響している場合が多い。
病院で指示される「排卵日のセックス」が男性にプレッシャーを与え、「もし失敗したら・・・」という不安が強くなると、勃起や射精がうまくいかなくなることがある。
また、男女ともに排卵日が憂うつになる「排卵日うつ」が問題になっている(図を参照)。
対策としては、排卵日だけのセックスに1点集中するのではなく、「いつでもセックスしていい」という正しい情報を知ることが大事。また、勃起が不十分なら、ED治療薬を服用する方法もある。

夫婦の気分が変化する「排卵日うつ」

夫婦の気分が変化する排卵日うつグラフ

排卵日が近づくと、夫は「指定された日にセックスしなくては」「ちゃんとできるかな・・・」と不安になり、妻は「うまくいかなかったらどうしよう」と心配になる。排卵日のあとは気がラクになり、気分も安定する。不妊治療では、こうした気分の波がよく見られる。

射精障害(膣内射精障害)

射精がうまくいかないことを「射精障害」という。
特に最近問題なのが、女性の膣内で射精できない「膣内射精障害」で、その原因には次のようなケースがある。

間違ったマスターベーション

手で強くペニスを握ってこすったり、机の角や床にこすりつけるなど、間違ったマスターベーション(オナニー)による強い刺激で快感を得てしまい、女性の膣内では満足できず、射精に至らないケース。

AVの弊害

AVの過激な映像に慣れてしまい、生身の女性とのセックスに魅力を感じないケース。セックスそのものを楽しむことができなかったり、AVの影響で膣外でしか射精できない人も。
また、セックス以前の問題として、女性とのコミュニケーションが苦手で、相手との関係を築きにくく、たとえパートナーがいても性的関心が向かない、といったことも起こっている。

これらの射精障害の治療としては、カウンセリングがある。しかし、感覚は個人的なものであり、かつ長年の好みや癖を矯正するのは難しく、また時間もかかる。
そのため、子どもを望む人は、不妊治療で人工授精を受けるのが現実的である。同時にカウンセリングを受け、またマスターベーションの補助器具を使って、正しい快感を取り戻すことにトライして、第二子以降は自然妊娠を目指す方法がおすすめである。

射精のしくみ

逆行性射精

本来は体の外に射精される精液が、逆方向の膀胱の側に射精されるもの。射精のときに閉じるはずの膀胱頚部が閉じないために、精液が膀胱に逆行して起こる。
射精液が存在しないか、極少ないことから気がつく。
精巣では精子はつくられている。
また、糖尿病の末端神経障害として、逆行性射精が起こることもあり、近年は糖尿病の低年齢化とともに、このケースが急増している。
子どもを望む場合は、排尿して膀胱を空にしてからマスターベーションで射精し、膀胱から精子を採取する。その中に運動精子が十分あれば人工授精を、運動精子が少ない場合は、体外受精・顕微授精が選択肢になる。

逆行性射精

射精のとき 精液が膀胱に逆行する。

脊髄損傷による射精障害やED

交通事故やスポーツ中の事故などで精髄を損傷すると、勃起や射精ができなくなるケースが多い。以前は子どもを諦めるしかなかったケースでも、現在は不妊治療で子どもを望める可能性が高くなってきた。
射精を起こす治療には、経直腸電気刺激という方法があるものの、実施施設が限られるうえ、精子が回収できても、人工授精するのに十分な数でないことが多い。そのため、最近は顕微授精を選択することが多い。現在はTESE(精巣内精子回収法)を行い、精子を採取できたら顕微授精(ICSI)を行うのが第一選択肢になってきた。

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