男性不妊の現状

男性不妊の現状

日本での不妊の定義は「健康な夫婦が避妊をしないで夫婦生活を送っているにもかかわらず、2年間妊娠しないこと」をいう。 一般的に健康な夫婦が避妊をしない場合、妊娠する確率は1周期(月経から次の月経までの日数)あたり15%程度。つまり、1年間に12周期のチャンスがあれば、85%のカップルは1年以内に妊娠することになる。現実的には、1年間妊娠しなければ妊娠しにくい状況、つまり不妊と考えていいだろう。また、結婚・出産年齢が上昇している現代日本では、以前に比べて妊娠しにくい状況と考えられる。

不妊の原因について(WHO調べ)

日本で不妊に悩むカップルは、一般的には10組に1組といわれる。日本には大規模な不妊の調査研究は存在しない。また、子どもがいないカップルのなかで、子どもを望んでいない場合もあるために、実際にどのくらいの割合で不妊に悩むカップルが存在するかは確実なデータはないのが現状である。6-7組に1組と推定している研究者もいる。
子どもを望むのに授からないことは、いまや珍しいことではない。その原因が男性にある場合は、WHO(世界保健機関)の報告によると、約半分である。では、日本で男性不妊に悩む人はどれくらいいるのか? これを推測したところ、52万人と考えられる(*1)。これは同年代の糖尿病の患者数より多い。 いまや男性不妊は、珍しいことではなく、また恥ずかしいことでもないのである。

(*1)生殖年齢を25〜39歳と仮定、該当する男性は2012年の厚生労働省発表の人口動態速報では1560万3000人。そのうち2/3が女性とカップルになり子どもを望むと仮定。10%が不妊であり、半分が男性不妊とすると、約52万人という計算になる。


男性不妊外来での原因別患者数の割合 ※ED・射精障害・性交障害を除く。

帝京大学泌尿器科・獨協医科大学越谷病院泌尿器科 2004-2010年

もしも男性に不妊原因があっても、ED(勃起不全)や射精障害を除き、まず自覚症状はない。精液検査をして、初めてわかることがほとんどである。
「なかなか妊娠しない」と感じているなら、不妊に詳しい医療施設を受診することをおすすめする。不妊の検査は女性だけでなく、男性も必ず受けること。男性が検査を先送りにすると、その間に女性の年齢が高くなり、妊娠しにくくなってしまうからだ。
不妊検査は夫婦がそれぞれ受けることが大事であり、不妊治療は夫婦で行う治療である。

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