無精子症の治療法として、精巣から精子を採取する2つの方法がある。
Conventional TESE(testicular sperm extraction/精巣精子採取術)とMD-TESE(microdissection TESE/顕微鏡下精巣精子採取術)の違いを紹介しよう。
精子がつくられているかどうかによって治療を選択
Conventional TESEは、精巣から精巣組織を取り出し、その中から精子を見つける方法。
精巣で精子がつくられている可能性が高い、閉塞性無精子症の場合に行う。精子がつくられているかどうかは、精巣の大きさ、超音波検査、ホルモン値などから推測でき、閉塞性無精子症であれば、理論上は100%の人で精子が見つかる。
MD-TESEは、精巣の中にある精細管を採取し、その中から精子を見つける方法。
非閉塞性無精子症の治療法で、原因がわからない特発性造精機能障害やクラインフェルター症候群、がんの化学療法をした無精子症の人などが対象になる。
精液検査で問題がない人は、通常はどの精細管でも精子がつくられるが、造精機能が低下した人では、精子がつくられている精細管もあればそうでない精細管もある。そこで、精子がつくられていそうな精細管を探して、精子を見つけ出す。
Conventional TESEで「精子がない」と言われた人でも、MD-TESEで精細管を丁寧に見ると、40%以上で精子が見つかっている。
Conventional TESE(精巣精子採取術)
MD-TESE(顕微鏡下精巣精子採取術)
MD-TESE手術の流れ- 「精子がない」と言われても諦めるのは早い!
- 非閉塞性無精子症は、男性不妊の最大の難関といえる。MD-TESEの出現は、以前は子どもを諦めるしかなかったカップルに希望の光をもたらした。MD-TESEは、Conventional TESEよりもずっと繊細な技術を要し、現在、日本でこの手術を手がける医師・医療機関は限られている。獨協医科大学越谷病院と関連施設では、これまでに2000例以上の手術を実施し、国内で最も多くの症例を扱っている。