精子の受精能力(卵活性化能)を総合的に判断する
従来の精液検査でわかるのは、濃度や運動率など、いわば精子の外見だけ。この「精子機能検査」では、精子に受精させる力があるかどうかを調べる。
胚(受精卵)が発生する初期段階は、哺乳類に共通のメカニズムが働いている。このメカニズムを利用して、人間の精子とマウスの卵子で顕微授精を行い、受精するかどうかを確認する。一人の男性の精子について、複数のマウス卵への顕微授精を行い、その卵活性化率から、精子の「妊娠させる能力」をはかるのだ。
この「精子機能検査」に加え、「精子DNA断片化率の検査」をすることで、精子の能力を総合的に判断でき、治療方針が立てやすくなる。
「精子機能検査」は、マウスを活用することから「MOAT(=Mouse Oocyte Activation Test)」と呼ぶ。
精子DNA断片化率が高い場合は、自然妊娠が起こりにくいばかりか顕微授精した場合も流産率が高くなるなどの生殖障害が明らかになっている。
精子機能検査のプロセス
精子DNA断片化率の検査
- 35歳は精子力の曲がり角!
- この「精子機能検査」の結果から、加齢によって「精子機能が低下する人」と「精子機能が変わらない人」の2つの傾向があるのがわかった。前者では、精子機能の低下が見られるのは35歳。年齢とともに精子力が落ちていく可能性があるのを覚悟しておこう。