本日発売の「サムライ 人生の達人」に取材記事が掲載されました

2013.09.26 | マスコミ紹介

■「「サムライ 人生の達人」(歴史人増刊)

本日発売号(2013年10月号)に取材記事「50代、今さら聞けない大人の性教育」が掲載されました。

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中高年男性のセックス知識は意外とかん違いが多い?
最新の著書で男の「精子力」を解説して話題の医師が、今さら他人に聞けない性と健康の新常識を説く!(記事より)
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人工授精を始めたのですが、生活習慣で変えた方が良いものはありますか?

2013.09.24 | 新知識

これは、不妊カップルからよく質問される内容です。

今回は、女性の立場から少し文献を紹介しましょう。

喫煙・アルコール摂取・肥満は不妊の原因とされてきました。

特に、体外受精を行なう人を対象にした研究では、BMIが高い肥満女性は妊娠率が低く、アルコールを飲む女性は妊娠率が低下し、コーヒーをたくさん飲む女性は少ししか飲まない女性よりも良好胚到達率が低いことが報告されていました。

それでは、タバコを吸っていた人が禁煙する・アルコールを飲んでいた人が飲酒をやめる・コーヒーなどのカフェインを含む飲料を飲んでいた人がこれをやめると、妊娠力にどのような影響があるのでしょうか?

体外受精(特に顕微授精)は人工的な操作が多く主として男性因子のあるカップルに行なわれることが多いため、妊娠力を評価するにはこれを左右する因子が多すぎるので、もっと自然妊娠に近い人工授精を行なう患者カップルを対象にした他施設共同研究結果が発表されました。(Huang H, et al. Predictors of pregnancy and live birth after insemination in couples with unexplained or male-factor infertility.)

Huangらは、大学病院を中心とした多施設共同研究で人工授精を行なっている664カップル(原因不明不妊カップル)を調査し、4回以上の人工授精の結果で、妊娠が成立したか?生児を獲得できたか?ということと、カップルの女性の生活習慣について調査しました。

まず、カップルの女性の年齢・男性の年齢・人種・教育程度には、妊娠率に有意差はありませんでした。しかし、過去に妊娠したことがある人はそうでない人に比べて妊娠率は有意に高い結果でした。

女性側の危険因子としてまず、喫煙・カフェイン飲料・炭酸飲料・アルコールについて調査しています。(画像をクリックして拡大・Table 1)
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table 1. 2013.9.24

意外な事に、喫煙は過去に吸ったことがない人も、現在喫煙中の人も、禁煙した人も妊娠率・生産率に差はありませんでした。カフェイン飲料・アルコールはいずれも、一度も飲んだことのない人に比べて、現在飲んでいる人の方が妊娠率も生産率も高く、さらにこれらを飲むことをやめた人はさらに妊娠率・生産率が良くなると結論しています。

炭酸飲料を飲むか飲まないかは、関係していないとの結論でした。

さて、そのほかの危険因子はどうでしょう。

日本ではなじみがないのですが、マリファナ・コカインも関係が無いとの結論でした。

さらに、職場の環境についても調査しています。

有機溶媒・鉛・ペンキ・殺虫剤・溶接の煙・麻酔ガス・化学療法薬・高温環境・振動・放射線暴露・コンピュータ端末・電磁場といった、過去に妊娠・生産率に影響があるとされた事柄は、いずれも関連は薄いと結論しています。

この論文の著者も述べていることですが、過去の多くの調査では、喫煙・アルコール・カフェインは妊娠・出産に良い影響はないと報告されています。ましてや、非合法のマリファナやコカインはもっと大きな影響があります。

この論文は、喫煙・コーヒー・アルコールをたしなんでいても良いと勧めているのでは無く、むしろこれらの習慣を中止することによって、妊娠力を上げることが出来るのであると、解釈すべきでしょう。

いやはや、前回にも書きましたが、疫学調査はサンプルが大きくなっても、結果の解釈には、工夫が必要です。

下の毛の処理はエチケット?

最近の男性不妊患者さんの中には、体毛のほとんど無い(ツルツルの)人が増えてきています。髭だけではなく、脇毛、スネ毛、そして陰毛(恥毛:pubic hair)までも無いのです。どう見ても先天的に体毛の薄い(無い)人とは思えないので、「どうして処理しちゃったの?」と尋ねると、異口同音に「何となく汚いし、相手に対するエチケットですよ」という答えが返ってきます。

それでは、毛の処理には(むだ毛の処理には)男性よりも長い歴史のある女性の場合はどうなのでしょう?

米国のインディアナ大学のHerbenickらが興味深い報告をしています。(Herbenick D, et al. Pubic hair removal and sexual behavior: Finding from a prospective daily diary study of sexual active women in the United States. J. Sex Med 10: 678-685, 2013)

Herbenickらは、アメリカ、イギリス、オーストラリアで若い女性を中心に、pubic hairを全部処理してツルツルにしてしまう人が急増していることを2005年ぐらいから気付いていました。

そこで、この原因がセックスにあると考えて、pubic hairを処理することとセックスの関連を、インターネットを用いて調査しました。方法は、手の込んだもので、セクシュアルヘルス、ウィメンズヘルスと健康に関する情報を供給したりレスビアンやバイセクシュアルな人たちに、健康に関する情報を発信するWeb上のサイトで、18歳以上でsexually activeな参加者を募ります。

ここで重要なのはsexually activeの定義です。1ヶ月に4回以上、自分でマスターベーションをする、パートナーと経膣性交ないしはアナルセックスをする、パートナーにマスターベーションをしてもらうこと、と定義しています。この条件に合致した人に、5週間毎日性行動やpubic hairの処理についての日記を書いてもらうのです。

過去のことを思い出しで記載するのでは無く、毎日日記を付けるようにメールが届き、これに反応して毎日書き入れてメールで返信するのです。そして、全てのデータを5週間記入できた人は、ご褒美(インターネット上で使えるギフトカード)をインセンティブとしてもらえるのです。

なんと、2354人のデータが集まりました。この参加者の背景を見ますと、(画像をクリックして拡大・Table 1)のようになります。

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table 1. 2013.9.14

結婚している、ヘテロセクシュアルな白人女性が大多数を占めています。参加者の平均年齢は32.69歳でした。

一体どのくらい、pubic hairの処理をしているのでしょうか?

調査した5週間の間に57.5%の女性が1回以上pubic hairの処理をしています。そしてその手段は99%がカミソリでの手入れです。残りはWaxやエステサロンでの永久脱毛です。

日本でのデータはありませんが、着実に増えていると思います。

次に、pubic hairの処理をした当日に外性器の症状やセックスに関連して何をしたかを調べています。(画像をクリックして拡大・Table 2)

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table 2 2013.9.14

何が彼女たちにpubic hairの処理をさせるきっかけになったのでしょうか?

Pubic hairの処理と有意に関連しているのは、年齢が若いこと、セックスに興味があること、膣に何らかの症状がある、外性器にクリームを塗っている、膣に指を挿入する、指でクリトリスを刺激する、夫以外のセフレがいる、と言う因子が浮かび上がって来ました。

これは、どう解釈すれば良いのでしょうか?

外性器にクリームを塗っているのは、カミソリまけを防ぐためと考えられます。そのほかは、性行動が活発化している事を示しています。

しかし、意外な事に経膣性交やアナルセックスはpubic hairの処理の有無とは関係しないようです。つまり、いつもセックスをしている配偶者(夫)とのセックスでは、pubic hairの処理はセフレに対する時ほど問題にならないようです。従って、相手に対するエチケットとは、セフレに対する事を意味するのです。

男性に関するデータはありませんが、ツルツルの下半身を見たら男性も女性も、その影にいる同性(異性)の他人にご用心。

やっぱり、男性型脱毛症の治療は精子力を弱めます

男性型脱毛症(AGA: antdrogenic alopecia)治療のため、抗男性ホルモン薬フィナステリドを使用している男性の数は、過剰なインターネット広告の影響か年々増加しています。

AGAの原因になっているのは、活性型のテストステロンであるDHT(ジヒドロテストステロン)である事が突きとめられました。そして、このテストステロンをDHTに転換するのに必要な酵素である5還元酵素(type 1とtype 2がある)のtype 2を押さえてしまう薬が開発されました。フィナステリド(商品名プロペシア)という薬です。元々、前立腺肥大症の治療に、日本を除く世界中で1日5mgを使用する薬剤として広く使用されているものです。日本では、前立腺肥大症に対する適応は取れていませんが、2005年に万有製薬(現在のMSD)からAGAに対する治療薬として、1日1mgを使用する薬剤として、発売されています。

精子形成には精巣内にテストステロンが存在する事が必要条件になっていますが、その活性型のDHTがいかに精子形成に関わるのかについては、十分な証拠は確立されていません。というのは5還元酵素type 2が生まれながらにして存在しない人でも、精液量は減少しますが精子濃度に異常の無い場合が多いことが知られています。

Ovestreetらは、妊孕性のある正常男性に1mg/日のフィナステリドを与えて精液検査に影響を与えないと報告しており(Overstreet, et al. Chromic treatment with finasteride daily does not affect spermatogenesis or semen production in young men. J. Urol. 162: 1295-12300, 1999)、これが元になってフィナステリドは精子形成に問題は無いと考えられていました。しかし、拙著「男を維持する『精子力』」にも書きましたように(ベビーが欲しければ、フサフサ頭は諦めろP22-P25)hon_130709、AGA治療中で精液所見に異常のある男性不妊の患者さんで、フィナステリドを中止すると精液検査の結果が改善して、自然妊娠が成立した例を少なからず経験しています。

同じような症例報告を、神戸大学の千葉先生らもしています。(Chiba K. et al. Finasteride-associated male infertility. Fertil. Steril. 95: 18786-1789, 2011)

最近、もっと大規模な報告がカナダのMount Sinai病院のSamplaskiらによってなされました。(SamplaskiWK, et al. Finasteride use in the male infertility population: effects on semen and hormone parameters. Fertil. Steril. 2013. Doi. Org/10.1016/j. fertnstert.2012.07.2000)

彼らは、Mount Sinai病院の2008年から2012年までの男性不妊データベースから、AGA治療中の患者を選び出し、この中で精液検査がAGA治療中と治療中断後になされている14例を対象に分析しています。

これによれば、高度乏精子症(精子濃度500万/ml以下)では精子濃度が15.9倍に、軽度乏精子症(精子濃度500万/mlから1500万/ml)では13.6倍に、正常精子濃度(1500万/ml以上)で3.14倍に増加しています。14例全体で見ると精子濃度は11.6倍に増加していました。精子運動率や正常形態精子率には変化がありませんでした。(画像をクリックして拡大・Table 1)

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table 1 2013.9.13

内分泌検査でLH, FSH, Tに治療中断前後で変化は見られませんでした。

この詳細な原因は不明ですが、正常男性と違い不妊男性はフィナステリドにより精子形成が影響を受け易い因子を持っているのかも知れません。
自然妊娠を目指すのでは無く、現在体外受精(顕微授精)をしているから精子の数は問題ないとお考えであれば、まちがっています。フィナステリドにより精子のDNA断片化率が上昇することが報告されています。

現在不妊治療中の男性不妊の患者さんたちは、頭髪の事はしばらく諦めて、AGA治療を中断する方が良いでしょう。お子様を持つ夢が叶う方が、きっと大事だと思います。

不妊カップルのセックスの回数はどのくらいなのですか?

不妊に悩むカップルは、不妊期間が長くなればなるほど精神的ストレスが多くなり、婚姻関係を維持することが困難になったり、生活の質が落ちることが知られています。

よく患者さんから質問される内容です。また、多くのツイッター記事やブログ記事が、ネット上を飛び交っています。

さて、真実はどうでしょう?

私たちのデータでは、興味深い結果が出ています。セックスの回数は年齢に応じて段々少なくなって行くことは、想像がつくことですね。年代で違いがあるのでしょうか?

治療開始する前(精液検査する前・パートナーにタイミング法の指導や人工受精が行なわれる前)の不妊カップルの男性(20歳から45歳)に調査しました。1985年に340の不妊カップルに2005年に565の不妊カップルに、セックスの回数を聞き取り調査しましたものです。

すると、1985年では20歳台で6.8回/月であったものが40歳台では1.5回/月に減少しました。これに対して、2005年の調査では20歳台で4.4回/月であったものが40歳台では1.1回/月に減少しました。いずれの年代でも1985年よりも2005年の方がセックスの回数が少なくなっていたのです。平均して5.5回/月から2.8回/月に半減したのです。

さらに調査すると、タイミング法やAIHによる治療が始まると全ての年代で、1回以下/月に激減するのです。

あなたの場合はどうでしょうか?

さて、外国の場合はどうなっているのでしょうか?この答えは、最新のアメリカ生殖医学会のオフィシャルジャーナルFertility & Sterilityに掲載されたPerisらのトロントの不妊カップルを対象としたデータにあります。(Peris N. et al. Coital frequency and infertility: which male factors predict less frequent coitus among infertile couples? Fertil Steril 100: 5-11-515, 2013)

この論文の結果によればは、不妊カップルの平均セックス回数は7回であり、これは不妊以外の人が入った一般のカップルのセックスの回数と同じである事が判りました(なんと40回/月の人もいます)。(画像をクリックして拡大・Fig.1)
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セックスの回数に影響する因子は、年齢・不妊期間・性機能・精子濃度であると報告しています。(画像をクリックして拡大・Table 1)
スライド1
Table 1 2013.9.10

日本での、詳しいデータはありませんので、現在解析中です。少なくとも、1985年の時点ではPerisらのデータに近いものがあります。私たちのデータが論文になりましたら、改めて報告します。

コエンザイムQ10(CoQ10)は精子力を上げるのですか?

サプリメントの中には、大きく分けて食品などから有効成分を抽出したものと有効成分を化学合成したものがあります。

前者の代表が、ピクノジェノール・トンカットアリ・マカ・セサミンなどです。後者の代表はビタミン類(Vit. C, Vit E)やコエンザイムQ10(CoQ10)などです。

前者の場合は、一般的に有効成分の含有量が少ないため、多量(錠剤やカプセルの場合1日10錠や10カプセル以上)を飲む必要があります。これに対して、後者の場合は有効成分そのものを用いるため、錠剤やカプセルの飲む量を1日2錠や2カプセルに減らすことが出来ます。

私たちは、CoQ10に着目して、20年ほど前から医科用のCoQ10としてノイキノンを男性不妊患者に自由診療で用いてきました。ノイキノンは10mg錠ですので、1日6-9錠を服用して頂き、運動性の改善効果を認めてきました。特に、精索静脈瘤患者には有用性が高いため、手術前の期間に服用して頂いていました。(画像をクリックして拡大・Fig. 1 unpublished data)
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Fig. 1 2013.9.7

最新のCoQ10と男性不妊に関する報告をご紹介しましょう。

イタリアのFesta,RらがAndrologiaに発表したものです。(Festa R, et al. Coenzyme Q10 supplementation in infertile men with low-grade varicocele: an open uncontrolled pilot study. Andrologia. 2013 Aug 22. doi: 10.1111/and.12152. [Epub ahead of print])

19歳から40歳の、grade Iないしgrade IIの精索静脈瘤以外に原因の明らかでない男性不妊の患者に、CoQ10を100mg/日投与して、精液検査のパラメータの変化と精液の総抗酸化能を、投与前後で比較しました。

12週間の治療前後で、精子濃度・精子運動率が有意に改善し、精液の総抗酸化能は有意に増加したと報告しています。(画像をクリックして拡大・Table 1)
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table 1 2013.9.7

この論文で重要なのは、以前に無力精子症(asthenozoospermia)の男性不妊患者さんに、CoQ10とプラセボ(偽薬)を飲んでもらった二重盲検試験(最も厳しい臨床試験)で効果の確かめられていたCoQ10の使用を、精索静脈瘤患者さんに限定しているところです。(Balercia G, et al. Coenzyme Q10 treatment in infertile men with idiopathic asthenozoopsermia: a placebo-controlled, double-blind randomized trial. Fertil. Steril. 91: 1785-1792, 2009)

これは、精索静脈瘤患者さんの精巣内には酸化物質が増加しているために、これを打ち消す役割を果たすCoQ10が有用であると主張する私たちのデータを補完するものになりました。

現在、さらに抗酸化作用を強化したサプリメントが、精子力向上に有用である事を示したデータを投稿中です。出版されましたら、改めてご紹介いたします。

職場の環境は精子力に影響しますか?

男性不妊外来患者さんから、よく尋ねられる事に、自分の働いている環境が男性不妊の原因になっていないか?と言う質問があります。

これに対する、疫学調査がこれまでにも行なわれていますが、全く異なった結果が出ている2つの報告をご紹介しましょう。

エジプトからの2010年の報告です。(El-Helally, M. et al. Workplace exposure and male infertility-A case-control study Int. J Occup. Med. Envir. Health. 23: 331-338, 2010)

不妊を主訴に来院した男性患者で精液検査の結果の異常のあるものを、男性不妊群として、対照群は同施設を出産のために訪れている人のパートナーで精液検査結果に異常のないものとしています。
不妊群と対照群には、年齢差は無く、教育程度・収入・住んでいる地域(都会か田舎か)などの社会経済的背景に大きな差がありませんでした。

この調査結果、有機溶媒やペンキ・鉛・コンピュータ端末・シフト労働・仕事のストレス・喫煙・肥満度(BMI)が不妊要因として抽出されてきました。((画像をクリックして拡大・Table 1)
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Table 1 2013.9.1

これらは、これまでの論文でもたびたび指摘されてきた事柄です。

では、もう1つの論文ではどうでしょうか?

アメリカからの2005年の報告です。(Gracia CR. Et al. Occupational exposure and male infertility. Am J Epidemiol 162: 729-733, 2005)

12ヶ月以上の不妊歴があり、パートナーに婦人科的異常のない精液検査に異常のある無精子症でない人(過排卵させて人工受精を行なう臨床試験参加者のパートナーから抽出)を男性不妊群として、対照群は2年以内にパートナーが妊娠したひとで精液検査結果に異常のないひととしています。

この結果は、先の論文で指摘されたような有機溶媒やペンキ・鉛・コンピュータ端末・シフト労働・仕事のストレス・喫煙・肥満度(BMI)は不妊要因とはならず、コンピュータ端末と放射線暴露が、正常群が有意に不妊群よりも多い(男性不妊にはむしろ良い方に働く)結果となりました。((画像をクリックして拡大・Table 2)
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Table 2 2013.9.1
なかなか、受け入れがたい結論ですが、このような差はどうして生まれるのでしょうか?

それは、研究対象の抽出法にあります。疫学研究には最も大事で結果に大きな影響を及ぼす事です。例えば、運動量と体重の関係を調べる事は、比較的たやすく出来ます。なぜなら、測定する項目が肉体的にも精神的にも難しいものではありません。しかし、精子力を判断する精液検査が関連するとそうはいきません。精液検査は一般には行なわれていない検査で、正常群の抽出に偏りがでます。つまり、パートナーが妊娠した人に頼むわけですが、これを承知する人の割合は1/3程度で、かなりの人が辞退されます。つまり、パートナーが妊娠していて精液検査に応じてくれた人という偏りがあるのです(セレクションバイアスと言います。)研究対象を選ぶときに、精液検査が入ると疫学研究が難しくなる事は、お分かりいただけたと思います。

さて、今回の結果はどう解釈すれば良いのでしょう。

男性不妊患者さんには、「環境因子の精子力に与える影響に関しては、確実な報告はまだでていません。お仕事そのものを変えるは難しいでしょうが、これまでに悪いとされてきた要因は避けるようにするのが賢明でしょう」とお伝えしています。
医学は科学です、しかし、動物実験のように割り切れないのが、不妊症分野の疫学研究です。

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