本邦におけるオンライン精子ドネーションの実態調査結果の論文がRMB誌(生殖医学会の英文誌)に掲載されました

2021.06.16 | お知らせ

株式会社みらい生命研究所の精子バンク事業開始に先駆けて、みらい生命研究所の中田先生らは、本邦におけるオンライン精子ドネーションの実態調査を実施致しました。このほど、調査結果の論文がRMB誌(生殖医学会の英文誌)に掲載されましたのでお知らせします。

Status of online sperm donation and sperm bank in Japan
Kumiko Nakata et al.
Reprod Med Biol.2021 DOI: 10.1002/rmb2.12395
open access論文ですので、だれでもこちらからアクセスし、引用可能です。

要旨は以下の通りです。

精子提供による人工授精を行っている世界中の施設では、精子提供者が不足しています。また、精子提供に関する情報や、提供された精子を使って医療関係者の関与なしに妊娠することの危険性も指摘されている。
そこで著者らは、日本の一般的な検索エンジンで精子提供関連のキーワードで検索された140のWebサイトを調査した。
著者らはそれらを基準に基づいて評価したが、ほとんどが安全ではないと判断された(96.4%)。最終的に、2つの個人サイトと3つの企業サイトが適切な情報を提供していた。しかし、個人サイトでは、代表的な個人情報が不足しており、企業サイトでは、費用が高いこと、人工授精を行う施設が海外にあること、提供された精子が日本人以外のものである可能性があることなどの問題があった。




安全で良好な精子を医療機関に提供するために「精子バンク」事業を開始します

2021.06.05 | 未分類

このたび、株式会社みらい生命研究所を設立し、精子バンク事業を開始しました。みらい生命研究所は、提供者より提供された精子を凍結保存し、当研究所と契約を結んだ医療機関様に対して精子を提供します。

■目的
愛する者同⼠がカップルとなり⾃然な形で⼦どもを授かることが、社会においては⻑い間、理想と考えられています。しかし、さまざまな要因でその希望がかなえられない場合があります。⼦どものいる家庭を築く⼿段にはいくつかの選択肢があり、そのひとつに第三者からの提供精⼦を⽤いた⼈⼯授精(AID)という⽅法があります。

みらい⽣命研究所は、AID を実施する医療機関に対して安全で良好な精⼦を提供するために「精⼦バンク(Sperm Bank)」事業を⾏います。
※⾮配偶者間⼈⼯授精:最近は「Donor Insemination」を略して「DI」と呼ぶことも多い。

■設立の背景
公益社団法⼈⽇本産科婦⼈科学会に登録されている AID 実施施設は、全国に 12 施設あります(2021 年 5 ⽉現在)。AID を⾏う場合は、施設登録することが同学会の会告に明記されています。現在、⽇本においては精⼦提供者不⾜から AID の実施数が減少していて、治療を希望しても、すぐに提供を受けられないケースが多いのが現状です。

こうした状況から、医療機関を介さずにインターネットを利⽤して直接ドナー(提供者)を探して個⼈で取引を⾏い、登録施設以外で使⽤するケースが増えています。

しかし、個⼈の取引には問題が多いと⾔わざるをえません。

まず、精液を採取する際に衛⽣⾯や安全性が担保されていないこと。男性がなんらかの感染症にかかっていてもわからないこと。また、精液をそのまま体内に注⼊すれば、⼥性が感染症に侵される可能性もあります。そもそもドナーの本⼈確認や、ドナーから⼿渡された精⼦が本⼈のものだと確認することすらできないのです。

このようなリスクを負ってでも「早く妊娠したい、⼦どもを持ちたい」という切実な思いが提供を希望する側にはあるといえます。

みらい⽣命研究所では、こうした状況を改善し、未来を担う命を育むことに寄与するために精⼦バンク事業を⾏います。

■提供者と精子について
精⼦提供者(ドナー)は、20 歳から 40 歳の治療に理解のある医療関係者。感染症などの検査を⾏った上で精液を採取し、独⾃基準に達した精⼦を凍結保存します。

■提供のシステム
当研究所と契約を結んだ医療機関を対象に精⼦提供を⾏います。提供精⼦を凍結保存し、必要に応じて凍結精⼦を契約医療機関に届けます。

■今後の予定とコメント
6⽉以降、提供者を随時募集し、精⼦の保管を開始します。当⾯は年間 500 件程度の利⽤を⽬指します。
精⼦バンクの設⽴により、⼦どもを望む⽅への安全な治療の⼀助となることを願っております。

株式会社みらい⽣命研究所
代表取締役 岡⽥ 弘

株式会社みらい生命研究所・公式サイト >>

不妊治療にあたって、アビガン(ファビピラビル)はどのような影響があるのですか?

COVID-19に効果が期待されているアビガンですが、生殖に関しては様々な心配事があります。「不妊治療にあたって、アビガンはどのような影響があるのですか?」という、質問を多くいただきます。

今回は、アビガンの投与に関して女性側と男性側に対する注意点をまとめました。

アビガンの添付文書では 図1のように書かれています。図1

女性患者さんと男性患者さん向けに、服薬指導をもう少しわかりやすく書いているものもあります(図2)。図2

要約すると、

①       妊婦や妊娠している可能性のある女性には処方できない。

②       妊娠する可能性がある場合は、避妊するように指導する。

③       授乳中の女性は授乳中止

④       男性の場合は、服薬終了から7日間は、コンドームを着用した避妊を行なう。

その理由は、

新しい薬が、市場で使えるようになるためには、毒性試験を行う必要があります。

この中には、次世代に対する影響を検証する重要な試験が含まれています。

このデータで、

①②動物実験で、胎児の異常(外表異常や骨数異常や内臓異常)や胎児死亡が増加することが報告されました。

③アビガンは母乳へ移行しますから、母乳栄養を行うと新生児にアビガンを投与したことになってしまいます。

④アビガンを3日間投与された男性の精液に、アビガン中止後2日まではアビガンが検出され、7日時点ではアビガンは検出されなかったとの、データがあります(表1)。つまり、2日までの間では、性交渉によって女性にアビガンを移行させる事になります。しかし、アビガン投与終了して7日たてば、アビガンを性交渉で女性に移行させる心配がない事になります。表1

3-6日の間はどうか?これは、データがないためにわかりません。

 

瀕死の重傷の患者さんが積極的にセックスするとは思えませんが、今後症状の軽い患者さんにアビガンが用いられるようになると、問題になる点でしょう。

 

次に、精巣での精子形成にアビガンはどのように影響するのでしょうか?

これにも、データがあります。

ラットやマウス(これらは齧歯類ゲッシルイと呼ばれています)には、精子の活動性が低下したり、形の悪い精子の割合が増えるなどの問題がありました。しかし、サル(ヒトと同じ霊長類 レイチョウルイと呼ばれています)の場合は、精子形成に影響はありませんでした(表2)。この理由は、ゲッシルイでは精巣にアビガンが蓄積しやすいのですがレイチョウルイでは蓄積しないことによる事が証明されています。表2 neo

さらに、アビガン服用中止後90日に時点では、偽薬を飲んだヒトとアビガンを服用した人に精液検査の結果に差が見られなかった事も報告されています(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency への2014年のレポート)

これは、製造承認時のデータです。最近実際の患者さんに投与したデータが公表されていますので、次回はこのデータをお示ししましょう。

 

しかし、安心して子作りに望むためには、副作用に御少ない治療薬とワクチンの開発が待たれます。

良い精子を選ぶ工夫

今回は、中国の杭州市にある浙江大学から興味深い論文の紹介です。
Novel distance-progesterone-combined selection approach improves human sperm quality.
Kun Li, et al. Journal of Translational Medicine 16: 203, 2018
現在、ART(生殖補助医療)に用いる精子の選別には、比重によってわけるパーコール法が主流です。しかし、身体の中では女性の生殖器(膣→至急→卵管)を通過する間に、良い精子が選別されてきていると考えられていることから(図1)、この女性生殖器をまねたものを人工的に造りました(図2)。図1-2
A(膣に相当する)にパーコール処理した精子を入れて、左卵管(C- G)の中に精子を引き寄せるホルモンであるプロゲステロンが含まれたアガロースゲルをおきヒトの卵管内の様子を再現しました。右卵管(C-F)にはホルモンの入っていないアガロースをおいて比較対象としました。
精子を引き寄せるホルモンのある卵管のE2とホルモンの入っていない卵管D2へ泳いできた精子の状態を比較しました。
その結果、ホルモンがある卵管(E2)がホルモンの入っていない卵管(D2)よりも、正常形態精子率は有意に高く(図3)、DNA断片化率は有意に低くなりました(図4)。

図3

 

図4

 

以上から、ARTに用いる精子の選別には、有用であると結論しています。

大変、面白い結果ですが、使用された精子が健康成人のものであったため、実際の不妊症の患者さんのように精子の状態の悪い場合に有用か否かは不明です。
今後の、実際の臨床での使用経験の報告が楽しみです。
(獨協医科大学埼玉医療センター 泌尿器科 上村慶一郎)

監修記事「男性不妊をめぐる最新研究」がNewtonの最新号に掲載されました

「Newton」6月号に監修記事「男性不妊をめぐる最新研究」が掲載されました。

科学雑誌の記事とあってサイエンスライターによる取材と執筆で、精子がつくられ、卵子の内部に侵入するしくみや男性不妊の原因、生殖医療の歴史や現状が解説されています。また、精子数の減少や年齢による精子力低下という現代の問題、さらには、岡田教授らの最新の研究から個別化診療として、精子機能検査を実施し、最適な治療を選択する「コンパニオン診断」まで、最新の男性不妊の事情に対する理解が深まる内容になっています。

「不妊」は男女がともに取り組むべき問題であるということがよくわかります。

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事務局

男性がん患者さんの妊孕性温存。 子どもを持つために知っておきたいこと

一般社団法人あきらめないがん治療ネットワーク」が運営している「再発転移がん治療情報“あきらめないがん治療”」というサイトに取材記事が掲載されました。
男性のがん患者の方で、がん治療を始める方、治療中の方、治療後の方の妊孕性の問題とその解決方法について、解説しています。
女性の妊孕性に関する情報は多いのですが、男性のものは大変少ないと感じています。
是非、参考にしてください。

https://www.akiramenai-gan.com/qol/easing/86749/

 

不妊治療による退職がもたらす経済損失

少子高齢化が進む中で、女性の社会での活躍がなければ、成り立たない世の中が到来しています。本日の日経朝刊の記事によれば不妊退職による損失だけでも、1,345億円超になるとNPO法人Fine(理事長 松本亜樹子)が公表しています(図1)。

img1

男性に関しては不妊治療が原因で退社した割合は2%、女性の場合は23%という報告もあります(図2)。

img2

不妊治療を続けながら、仕事も続けられるように、企業のみならず全ての人の認識が変わる必要があります。
気になるのは、厚労省からのデータでのサンプルの少なさです。図2のデータの男性患者数はわずか89人に過ぎません。
我々の施設は、かなり多数の男性不妊患者が受診しています。これらの患者さんたちに協力していただき、詳細な調査をする必要があると思います。

「夫婦で妊活セミナー〜不妊治療は男性の覚悟と行動で決まる」開催

産経新聞社は2月18日午後7時から、男性の不妊をテーマにした「夫婦で妊活セミナー〜不妊治療は男性の覚悟と行動で決まる」(共催・NPO法人男性不妊ドクターズ)を大手町サンケイプラザで開催します。

世界保健機関(WHO)の調査で、不妊の48%が男性側に原因があるとの結果が出ています。しかし、日本では女性だけが不妊治療を強いられるケースが目立ちます。セミナーでは治療のカギが男性にある点を踏まえ、精液検査の重要性、最新の治療方法、夫婦で取り組む妊活の効果を紹介します。

ドクターズの永尾光一理事長、辻村晃副理事長、若者の恋愛・婚活事情に詳しいライターのトイアンナさんらは登壇し、加藤勝信厚生労働省の来賓、スペシャルゲストはお笑いコンビ、よいこの濱口優さんをお迎えします。夫婦、カップルはもちろん、お一人での参加も歓迎します。定員150人。入場無料。事前申し込みが必要。

夫婦、カップルはもちろん、個人参加も歓迎します。

・定員:150名
・入場無料
・事前申し込みが必要です。

申し込みはこちらから

ninkatsuevent2020

臨床泌尿器科12月号「リプロダクションの現在 いま精子力を考える」

2019.10.29 | お知らせ

臨床泌尿器科12月号において、特集「「リプロダクションの現在 いま精子力を考える」を岡田弘先生が企画にあたられましたので、目次をご紹介します。

臨床泌尿器科2019年12月号( Vol.73 No.13)
特集:リプロダクションの現在 いま精子力を考える
・企画にあたって
〈総論〉
・ARTに関する基礎知識
・ARTの歴史・世界と日本
・本邦のARTの成績

〈精子力とは何か〉
・精子力とその測定法
・家庭での精子力測定(コラム)
・加齢と精子力

〈精子力改善プロジェクト〉
・精索静脈瘤・MetS・薬物が造精機能の及ぼす影響
・感染症・生活習慣・食生活が造精機能に及ぼす影響
・水素分子処置によるヒト精子の運動性改善効果
・精子力改善に有効なミグリス
・新精液輸送容器トランスポーターSによる精子力低下軽減の試み(コラム)

JJCU_201912

事務局

「赤ちゃんが欲しい」に取材記事が掲載されました

2019.10.07 | マスコミ紹介

主婦の友社の「あかほし」の公式サイトに以下の2つの取材記事が掲載されました。

1つは、「【男性不妊】精子トラブル、ED(勃起障害)でも妊娠できる?専門医が答えます」というタイトルで、不妊の原因は男女半々にあることから、男性不妊の原因や検査、治療方法、さらには、セルフケアで精子の質を改善し、妊娠する力を高める方法まで、10の質問に回答する形でわかりやすく説明しています。

・【男性不妊】精子トラブル、ED(勃起障害)でも妊娠できる?専門医が答えます。

もう1つは、「妊活カップルに急増「タイミングED」とは? 妊娠できる?」というタイトルで、赤ちゃんを望むから排卵日にタイミングをはかっているのに、それがストレスやプレッシャーになって、逆に妊娠を遠ざけることになりかねない、タイミング法が原因で起こる「タイミングED」について、詳しく解説しています。

・妊活カップルに急増「タイミングED」とは? 妊娠できる?

ご参考にしていただければと思います。

事務局

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