みらい生命研究所の精子バンク事業への取材記事が掲載されました

みらい生命研究所の精子バンク事業への取材記事、「SNSで広がる精子「闇取引」の実態は? 日本初の精子バンクを設立した不妊治療専門医に聞く」がAERA dot.に掲載されました。

以下、記事のリードから。

無精子症などが原因で男性不妊に悩む患者の一助となることを目指し、日本初の精子バンク「みらい生命研究所」が埼玉県越谷市に設立され、今月から運営が始まる。研究所の代表取締役で、生殖医療を専門とする獨協医科大学の岡田弘特任教授は、SNS上での「精子の取引」の実態を調査し、「とんでもないことが起きている」と警鐘を鳴らす。精子バンク設立に至る経緯を聞いた。

AERA dot.「SNSで広がる精子「闇取引」の実態は? 日本初の精子バンクを設立した不妊治療専門医に聞く」

顕微鏡手術「ホークアイ・サージェリー」の取材記事が掲載されました

顕微鏡手術「ホークアイ・サージェリー」の取材記事が夕刊フジ・健康新聞にて掲載されました。獨協医科大学埼玉医療センターでは、オーブアイを使った男性不妊治療の顕微鏡手術のことを「ホークアイ・サージェリー」と呼んでいます。対象となる手術は、「精索静脈瘤手術」「精巣精子採取術(マイクロTESE)」「精管-精管吻合(ふんごう)術」「精管-精巣上体管吻合術」です。

従来の顕微鏡手術は接眼レンズに両眼を当てて、体を固定した体勢で手術していたのに対して、オーブアイは顕微鏡をのぞく代わりに、高画質の4Kカメラで撮影した映像を3D大型モニターに映し出し、それを見ながら手術をします。内視鏡や腹腔鏡でモニターを見ながら行う手術が、顕微鏡手術でも可能になりました。

image_hawkeyesurjery

その結果、顕微鏡をのぞき込む必要がないので、執刀する医師の体の負担が軽くなり、体の自由度が高くなるので正確で丁寧な手術ができるだけでなく、手術室にいるスタッフ全員が同じモニターを見ることができ、希望があれば患者にも術中の3Dモニターを見てもらうことで、手術への不安の軽減につながります。

【ここまで進んだ最新治療】男性不妊の顕微鏡手術 執刀医の負担減る「ホークアイ・サージェリー」 3Dモニター映像で患者も安心

みらい生命研究所の「精子バンク事業」が紹介されました

2021.07.02 | マスコミ紹介

みらい生命研究所の「精子バンク」が、国内初の民間事業で、提供者を募集し、必要な検査をした後、来年初めにも提供を始めること、年500件の精子提供を目指すことが、共同通信社からニュース配信されました。

・民間精子バンク運営開始、埼玉  国内初、不妊治療目的

みらい生命研究所の精子バンク事業について取材記事が掲載されました

2021.06.27 | 未分類

みらい生命研究所の精子バンク事業について、代表取締役の岡田弘特任教授への取材記事が夕刊フジ、Yahooニュースに掲載されました。

・Yahooニュース「闇取引に歯止め「精子バンク」の運用開始 「出自を知る権利」ドナー減少が課題」

↓クリニックすると拡大表示されまます。
yuukan_Fuji

COVID-19に対する抗体陽性は妊娠に影響を及ぼさない

2021.06.25 | 新知識

COVID-19に対する抗体陽性は妊娠に影響を及ぼさない

コロナウィルスに対するワクチンが精液検査には影響を及ぼさないことを述べた論文を紹介しました(6月19日)
女性の場合にはいかがでしょうか?
SARS-CoV-2 spike proteinとsyncytin-1 (syncytiotrophoblast形成のキータンパク質)が相同性を持つことから、コロナウィルスに対する抗体が交差反応を起こす可能性が指摘され、SNS上で話題になっています。このことから、trophoblast発育に障害を起こし、着床障害が起こることに対するとのうわさが広まり、生殖年齢の女性のワクチン接種を控える行動につながっていると報じられてきました。
イリノイ州のIVF1のMorris博士は、COVID-19に対するワクチンないしは感染によりSARS-Cov-2 spike proteinに対する抗体を獲得した女性に対する、凍結胚移植(FET: frozen embryo transfer)の臨床成績を、ワクチンで抗体獲得した群、COVID-19に感染することで抗体を獲得した群、抗体の無い群の3群間で比較した結果、化学妊娠率、臨床妊娠率、妊娠恵贈率に差が無かったと報告しています(Table 1, 2)。
すなわち、コロナウィルスに対する抗体獲得(抗体陽性)は、妊娠に影響しないと結論付けています。

参考文献: SARS-C0V-2 spike protein seropositivity from vaccination or infection does not cause sterility. Morris RS. Fertility Sterility 2021 2666-3341 https://doi.org/10.1016/j.xfre.2021.05.010

Table1
Table2
Morris RS. Fertility Sterility 2021 2666-3341 https://doi.org/10.1016/j.xfre.2021.05.010を改変

コロナウィルスに対するワクチン(COVID-19 mRNA vaccine)は精液検査所見には影響しない

コロナウィルスに対するワクチン接種に関して、生殖年齢の男性が危惧していることは、精子形成に悪影響があるのではないかということだと思います。
ワクチン接種後に、精子濃度や精子運動率が悪くなるのでは、という危惧です。
これに対して、マイアミ大学(Ramasamy教授のグループ)から速報が、JAMAに6月17日掲載されました。

45人のボランティアにファザー社またはモデルナ社のワクチンを接種前と2回接種後75日の時点で、精液検査を行い精液量・精子濃度・総運動精子率・総運動精子数を比較しました。

その結果、全てのパラメータでワクチン後の方が高い値を示したという結果でした(Table)。
少なくとも、この両者のワクチンが精液検査結果に悪影響を及ぼす可能性は、低そうです。
精子形成への影響を恐れて、ワクチン接種をためらう必要はなさそうです

Table
※画像をクリックすると拡大表示されます。

本邦におけるオンライン精子ドネーションの実態調査結果の論文がRMB誌(生殖医学会の英文誌)に掲載されました

2021.06.16 | お知らせ

株式会社みらい生命研究所の精子バンク事業開始に先駆けて、みらい生命研究所の中田先生らは、本邦におけるオンライン精子ドネーションの実態調査を実施致しました。このほど、調査結果の論文がRMB誌(生殖医学会の英文誌)に掲載されましたのでお知らせします。

Status of online sperm donation and sperm bank in Japan
Kumiko Nakata et al.
Reprod Med Biol.2021 DOI: 10.1002/rmb2.12395
open access論文ですので、だれでもこちらからアクセスし、引用可能です。

要旨は以下の通りです。

精子提供による人工授精を行っている世界中の施設では、精子提供者が不足しています。また、精子提供に関する情報や、提供された精子を使って医療関係者の関与なしに妊娠することの危険性も指摘されている。
そこで著者らは、日本の一般的な検索エンジンで精子提供関連のキーワードで検索された140のWebサイトを調査した。
著者らはそれらを基準に基づいて評価したが、ほとんどが安全ではないと判断された(96.4%)。最終的に、2つの個人サイトと3つの企業サイトが適切な情報を提供していた。しかし、個人サイトでは、代表的な個人情報が不足しており、企業サイトでは、費用が高いこと、人工授精を行う施設が海外にあること、提供された精子が日本人以外のものである可能性があることなどの問題があった。




安全で良好な精子を医療機関に提供するために「精子バンク」事業を開始します

2021.06.05 | 未分類

このたび、株式会社みらい生命研究所を設立し、精子バンク事業を開始しました。みらい生命研究所は、提供者より提供された精子を凍結保存し、当研究所と契約を結んだ医療機関様に対して精子を提供します。

■目的
愛する者同⼠がカップルとなり⾃然な形で⼦どもを授かることが、社会においては⻑い間、理想と考えられています。しかし、さまざまな要因でその希望がかなえられない場合があります。⼦どものいる家庭を築く⼿段にはいくつかの選択肢があり、そのひとつに第三者からの提供精⼦を⽤いた⼈⼯授精(AID)という⽅法があります。

みらい⽣命研究所は、AID を実施する医療機関に対して安全で良好な精⼦を提供するために「精⼦バンク(Sperm Bank)」事業を⾏います。
※⾮配偶者間⼈⼯授精:最近は「Donor Insemination」を略して「DI」と呼ぶことも多い。

■設立の背景
公益社団法⼈⽇本産科婦⼈科学会に登録されている AID 実施施設は、全国に 12 施設あります(2021 年 5 ⽉現在)。AID を⾏う場合は、施設登録することが同学会の会告に明記されています。現在、⽇本においては精⼦提供者不⾜から AID の実施数が減少していて、治療を希望しても、すぐに提供を受けられないケースが多いのが現状です。

こうした状況から、医療機関を介さずにインターネットを利⽤して直接ドナー(提供者)を探して個⼈で取引を⾏い、登録施設以外で使⽤するケースが増えています。

しかし、個⼈の取引には問題が多いと⾔わざるをえません。

まず、精液を採取する際に衛⽣⾯や安全性が担保されていないこと。男性がなんらかの感染症にかかっていてもわからないこと。また、精液をそのまま体内に注⼊すれば、⼥性が感染症に侵される可能性もあります。そもそもドナーの本⼈確認や、ドナーから⼿渡された精⼦が本⼈のものだと確認することすらできないのです。

このようなリスクを負ってでも「早く妊娠したい、⼦どもを持ちたい」という切実な思いが提供を希望する側にはあるといえます。

みらい⽣命研究所では、こうした状況を改善し、未来を担う命を育むことに寄与するために精⼦バンク事業を⾏います。

■提供者と精子について
精⼦提供者(ドナー)は、20 歳から 40 歳の治療に理解のある医療関係者。感染症などの検査を⾏った上で精液を採取し、独⾃基準に達した精⼦を凍結保存します。

■提供のシステム
当研究所と契約を結んだ医療機関を対象に精⼦提供を⾏います。提供精⼦を凍結保存し、必要に応じて凍結精⼦を契約医療機関に届けます。

■今後の予定とコメント
6⽉以降、提供者を随時募集し、精⼦の保管を開始します。当⾯は年間 500 件程度の利⽤を⽬指します。
精⼦バンクの設⽴により、⼦どもを望む⽅への安全な治療の⼀助となることを願っております。

株式会社みらい⽣命研究所
代表取締役 岡⽥ 弘

株式会社みらい生命研究所・公式サイト >>

不妊治療にあたって、アビガン(ファビピラビル)はどのような影響があるのですか?

COVID-19に効果が期待されているアビガンですが、生殖に関しては様々な心配事があります。「不妊治療にあたって、アビガンはどのような影響があるのですか?」という、質問を多くいただきます。

今回は、アビガンの投与に関して女性側と男性側に対する注意点をまとめました。

アビガンの添付文書では 図1のように書かれています。図1

女性患者さんと男性患者さん向けに、服薬指導をもう少しわかりやすく書いているものもあります(図2)。図2

要約すると、

①       妊婦や妊娠している可能性のある女性には処方できない。

②       妊娠する可能性がある場合は、避妊するように指導する。

③       授乳中の女性は授乳中止

④       男性の場合は、服薬終了から7日間は、コンドームを着用した避妊を行なう。

その理由は、

新しい薬が、市場で使えるようになるためには、毒性試験を行う必要があります。

この中には、次世代に対する影響を検証する重要な試験が含まれています。

このデータで、

①②動物実験で、胎児の異常(外表異常や骨数異常や内臓異常)や胎児死亡が増加することが報告されました。

③アビガンは母乳へ移行しますから、母乳栄養を行うと新生児にアビガンを投与したことになってしまいます。

④アビガンを3日間投与された男性の精液に、アビガン中止後2日まではアビガンが検出され、7日時点ではアビガンは検出されなかったとの、データがあります(表1)。つまり、2日までの間では、性交渉によって女性にアビガンを移行させる事になります。しかし、アビガン投与終了して7日たてば、アビガンを性交渉で女性に移行させる心配がない事になります。表1

3-6日の間はどうか?これは、データがないためにわかりません。

 

瀕死の重傷の患者さんが積極的にセックスするとは思えませんが、今後症状の軽い患者さんにアビガンが用いられるようになると、問題になる点でしょう。

 

次に、精巣での精子形成にアビガンはどのように影響するのでしょうか?

これにも、データがあります。

ラットやマウス(これらは齧歯類ゲッシルイと呼ばれています)には、精子の活動性が低下したり、形の悪い精子の割合が増えるなどの問題がありました。しかし、サル(ヒトと同じ霊長類 レイチョウルイと呼ばれています)の場合は、精子形成に影響はありませんでした(表2)。この理由は、ゲッシルイでは精巣にアビガンが蓄積しやすいのですがレイチョウルイでは蓄積しないことによる事が証明されています。表2 neo

さらに、アビガン服用中止後90日に時点では、偽薬を飲んだヒトとアビガンを服用した人に精液検査の結果に差が見られなかった事も報告されています(Pharmaceuticals and Medical Devices Agency への2014年のレポート)

これは、製造承認時のデータです。最近実際の患者さんに投与したデータが公表されていますので、次回はこのデータをお示ししましょう。

 

しかし、安心して子作りに望むためには、副作用に御少ない治療薬とワクチンの開発が待たれます。

良い精子を選ぶ工夫

今回は、中国の杭州市にある浙江大学から興味深い論文の紹介です。
Novel distance-progesterone-combined selection approach improves human sperm quality.
Kun Li, et al. Journal of Translational Medicine 16: 203, 2018
現在、ART(生殖補助医療)に用いる精子の選別には、比重によってわけるパーコール法が主流です。しかし、身体の中では女性の生殖器(膣→至急→卵管)を通過する間に、良い精子が選別されてきていると考えられていることから(図1)、この女性生殖器をまねたものを人工的に造りました(図2)。図1-2
A(膣に相当する)にパーコール処理した精子を入れて、左卵管(C- G)の中に精子を引き寄せるホルモンであるプロゲステロンが含まれたアガロースゲルをおきヒトの卵管内の様子を再現しました。右卵管(C-F)にはホルモンの入っていないアガロースをおいて比較対象としました。
精子を引き寄せるホルモンのある卵管のE2とホルモンの入っていない卵管D2へ泳いできた精子の状態を比較しました。
その結果、ホルモンがある卵管(E2)がホルモンの入っていない卵管(D2)よりも、正常形態精子率は有意に高く(図3)、DNA断片化率は有意に低くなりました(図4)。

図3

 

図4

 

以上から、ARTに用いる精子の選別には、有用であると結論しています。

大変、面白い結果ですが、使用された精子が健康成人のものであったため、実際の不妊症の患者さんのように精子の状態の悪い場合に有用か否かは不明です。
今後の、実際の臨床での使用経験の報告が楽しみです。
(獨協医科大学埼玉医療センター 泌尿器科 上村慶一郎)

前のページ | 次のページ

カレンダー

< 前月2024年4月                

1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

最新のコメント

PAGETOP