38回日本造血細胞移植学会総会の特別企画で講演します

名古屋国際会議場で開催されている、38回日本造血細胞移植学会総会(会長:宮村耕一先生 名古屋第一赤十字病院 副院長。血液内科部長)の特別企画 1
「造血細胞移植における妊孕性の検討」というプログラムののなかで、「移植前後の男性不妊に対する対応」について講演します。
男性がん患者の妊孕性の問題を、性機能障害・造精機能障害の2つの局面から解説します。さらに、獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターでの、精子凍結保存プログラムの実際や、今回行った血液がん患者さんの精子凍結保存の実態調査についても報告します。
造血細胞移植の必要なぐらい強力な、化学療法や放射線療法をおこなうがん患者さんの治療を担当している治療医の方々と、生殖医療担当医をつなぐ有効なプラットホーム造りについても、獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターでの取り組みをお話しします。
38jshct_main_new

がん患者さんの生殖に関して-3

2016.03.03 | 新知識

AYA世代の男性がん患者さんの妊孕性温存(次世代を作る能力を残しておく)ための、第一選択は精子凍結保存ですが、実態はどうなっているのでしょうか?
国内には、大規模な研究はありませんので、外国のデータを示しましょう。

Sperm cryopreservation in adolescents and young adults with cancer: results of the French national sperm banking network (CECOS). Fertil. Steril 103: 478-486, 2015

フランスで行われた、AYA世代の男子の精子保存の実態に関する報告です。
今回の研究組織であるCECOSに参加した23カ所の精子凍結保存施設からの4345例の解析結果です。
対象となった疾患は、前回のブログに書きましたように、悪性リンパ腫40%、白血病15%、胚細胞腫瘍 24%、悪性骨腫瘍10% 軟部組織肉腫3%、その他の癌2%、中枢神経系腫瘍2%、その他4%となっています。
これらは、原則として全て、治療開始前に精子凍結保存の説明がなされ、実際に凍結保存されています。
対象となった疾患の変遷は、Fig1 1Aに示されているように、はじめは悪性リンパ腫がほとんどですが、次第に胚細胞腫瘍や白血病が増加してきています。

Figure1
Fertil. Steril 103: 478-486, 2015を改変

精子凍結保存の年齢分布では(Fig. 1 B)興味深いことに、14歳以下の男子で精子凍結保存がなされたのは1984年からなので、そう古いことではないのです。
精子採取方法は、マスターベーションが基本ですので、最も若いマスターベーションでの精子回収・精子凍結保存の出来た男子の年齢は12歳であったと報告しています。
さらに、興味深いのは血液がん患者さん(悪性リンパ腫+白血病)と胚細胞腫瘍を分けて考えた場合、年代別にそれぞれのがん患者さんの中でどのくらいの割合で精子凍結されたかを示している点です。(Fig.2 )

Figure.2

なんと、2005年時点では、15歳以上であれば血液がん・胚細胞腫瘍の90%以上で精子凍結保存がなされています。
10歳-14歳の男子でも、1984年以降徐々に精子凍結保存が増加していることが判ります。

そして、極めつけは採取出来た精液の検査結果です。(Table-1)
意外と良好であることが判ります。
我々の、リプロダクションセンターでのデータはもう少し症例数が集まれば、報告しましょう。

Fig.1 疾患別・年齢別 精子凍結保存時の精液所見
Tabel.1
Fertil. Steril 103: 478-486, 2015を改変

がん患者さんの生殖について-2

2016.03.02 | 新知識

AYA世代の男性がん患者さんの精子保存はどうなっているのでしょうか?

AYAとは、adolescent and young adultsの略で、思春期から20歳以下の若年の世代を代表するネーミングです。
以前のブログで年齢別のがん患者数を示しましたが、この中でAYA世代の男性がん患者さんの生殖について、考えてみましょう。

http://maleinfertility.jp/blog/?p=1711

男性では、血液がん・中枢神経系のがんが多いことが示されていましたが、これらの患者さんは、30年前であれば命を救うことが困難な事が多かったのですが、最近ではかなり高い確率(おしなべて言えば80%以上)で治癒することが出来る様になりました。
具体的には、Fig. 1に示すように、年代を経るに従って、治癒する割合が増加してきているのです。

Fig. 1 2016.3.2

すると当然、これらの世代が子供を欲しいと考えた時に、生殖の問題がクローズアップされてきます。
男性の場合であれば、治療開始前の精子保存が第一選択になります。
この事に関する、大規模研究については、11歳から20歳の男性がん患者さんに関する、フランスのデータを次回お知らせいたします。
対象となったのは4345例のAYA世代の男性がん患者さんです。その、がんの種類を示しておきましょう(Fig. 2)。
Fig. 2 2016.3.2

女性誌「anan」に取材記事が掲載されました

■anan 2016.2.10 No.1990「脱・セックスレス読本」

「anan」の2016/2/10号の特集記事「脱・セックスレス読本」で取材記事が掲載されました。

以下、記事のリードから
——————
セックスレスのかたちは千差万別で、一概には結論の出せないデリケートな問題。ここでは、代表的な4つのケースに専門家が助言。悩みをなくすヒントにして。
——————

anan

*事務局

がん患者さんの生殖に関して-1

がん患者さんの生殖を考える上で大切な事は、どのようながんが、どのような年齢に多く発生するかを知ることです。そして、男性と女性の間にその傾向に差があることを意識することです。
今回は、日本人の生殖年歴(仮に44歳以下とします)の人がかかる可能性のあるがんには、どのような種類があるのでしょうか?
日本における、がん拠点病院(たくさんのがん患者さんを診療している日本を代表する機関)の集計が公開されています。
http://www.gunma-cc.jp/sarukihan/seizonritu/index.html

この報告を元に男性・女性を分けたとき年齢別にどのようながんが発生する割合が高いかが検討されました。
Fig.1 Fig.2に男女の傾向をしまします。

Fig.1

Fig. 2

男性・女性ともに20歳以下では血液がんの割合が多く、この後に男性では消化器がんの割合が増加し、女性では乳房と女性生殖器のがんが増加することが判ります。
これらの、がんの治癒率に関しては、次回解説します。

「がん患者さんの生殖に関して」連載開始のお知らせ

2016.02.09 | お知らせ, 新知識

これからしばらくの間は、がん患者さんの生殖に関して昨日開催されました、「がんと生殖に関するシンポジウム 2016」で取り上げた話題をもとに、解説してゆきましょう。(Fig. 1)(画像をクリニックするとPDFでご覧になれます)

がん生殖シンポ2016

このシンポジウムは日本がん・生殖医療学会の活動の一環として、2012年から1回/年開催されているものです。今年のテーマは、これまで余り取り上げられることの無かった、-男性がんと生殖機能の温存を考える-としました。この中で、以下の5つのテーマにしたがって、発表が行われました。(Fig. 2)(画像をクリニックするとPDFでご覧になれます)

がん生殖シンポ2016_2

1.男性がんによる生殖機能低下のメカニズム
がん治療による性機能低下・抗がん化学療法や放射線療法による精子形成能障害の面からの解説。

2.男性がんによる性機能障害への対策
がん治療による射精障害患者さんへの対策・ARTの応用・外科的治療法についての解説。

3.男性がんによる精子形成能低下への対策
がん治療による精子形成能低下の予防法・精子凍結保存時に問題となる耐凍能・精巣組織の凍結保存の可能性についての解説。

4.精子凍結保存のネットワーク
実際に、精子凍結を行っている施設から、現状とその問題についての解説。

5. 心理支援 
がん生殖医療カウンセリングの取り組みの―男性がん患者の精神的サポートを考える―カウンセリングの現状について解説していただきます。

これからの、連載をお読みいただければ、男性がん患者さんに役に立つ情報が満載です。

お楽しみに

今晩の「ワールドビジネスサテライト」の特集で紹介される予定です

■テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」(23:00〜23:58)

今晩のテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」の特集は「年々増加する不妊症の最新治療」です。そこで獨協医科大学越谷病院のリプロダクションセンターが取材され、紹介される予定です。本日(12月18日金曜日)、午後11時からです。よろしければご覧ください。

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」

事務局

がんと生殖に関するシンポジウム2016開催のお知らせ

■がんと生殖に関するシンポジウム2016開催のお知らせ

近年のお薬の治療(抗がん化学療法)や放射線療法や手術療法の進歩によって、がん患者さんの治癒率は飛躍的に向上しています。とくに、生殖年齢やそれ以前のがん患者さんにとって、がんそのものが治癒してからの大きな問題に、自分の子供を授かることが出来るのか?という問題があります。(難しい言い方では、妊孕性問題<ニンヨウセイモンダイ>といいます)

この問題に真正面から取り組んできた組織が、日本がん・生殖医療学会です。獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターでは、来年2月7日に開催される、がんと生殖に関するシンポジウム2016のお世話をすることになりました。

テーマはこれまで取り上げられてこなかった、男性がん患者にスポットライトをあてるため、『男性がんと生殖機能の温存を考える』としました。

詳細は、チラシをご覧ください(画像をクリニックするとPDFでご覧になれます)。

がん生殖シンポ2016がん生殖シンポ2016_2

多くの皆様のご参加をお待ちいたしております。

宮崎県助産師会で講演しました

■宮崎県助産師会「男性不妊ことはじめ」

宮崎県は、4月から九州で初めて不育症治療への助成を、男性不妊治療への助成は大分県に次ぎ2番目にスタートさせましたが、本日、宮崎県助産師会のお招きで、「男性不妊ことはじめ」というテーマで講演しました。

多くの方々に熱心に聴講いただきありがとうございました。

20151117012015111702


*事務局

日刊ゲンダイにリプロダクションセンターが紹介されました

2015.11.17 | 未分類

■2015年11月18日(17日発行)日刊ゲンダイ「有名病院 この診療科のイチ押し治療」

本日の日刊ゲンダイの「有名病院 この診療科のイチ押し治療」に獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターが紹介されました。

これまで泌尿器科が男性不妊の治療に力を入れて取り組んできたが、今年7月、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療を専門に行うリプロダクションセンターが開設されたことが紹介されています。

一番の特長は、患者さんご夫婦、男性不妊の担当医、女性不妊の担当医の4者が一度に同じテーブルに着いて治療が進められ、その場を大学病院につくることで、不妊治療から出産、新生児の管理まで一貫して同じ病院内で診ることができること。さらに、不妊に関連するすべての治療や検査に対応できる施設として、遺伝カウンセリングセンターが全面的にバックアップし、胎児の染色体異常を調べる新型出生前診断を専門に行うことや糖尿病や脊髄損傷など持病が不妊症と関連している場合、他科と連繋した診療が行えることも紹介されています。

NIKKAN GENDAI_20151117

*事務局

前のページ | 次のページ
PAGETOP