現在、女性の社会進出と若い世代の賃金が低く抑えられていることが相まって、共働きのカップルが増加しています。国内で、妊活時期の女性が労働についている割合に、地域によって差があるのでしょうか?

3世代以上が同居していた大家族の時代から、夫婦(カップル)だけの最小単位の家族構成が増加している時代ですので、大都市を抱える県とそれ以外では、家族の大きさが違うため、妊活・子育てを手助けできるマンパワーの差が色濃く出てくると、容易に想像できると思います。実際そうでしょうか?

総務省の国勢調査(平成27年)のデータから、厚生労働省のまとめた資料(http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/josei-jitsujo/dl/16c.pdf)によれば、都道府県別の女性の生産年齢(15歳~64歳)の労働力率は、島根県が74.6%と最も高く、福井県(74.2%)・富山県(73.9%)・山形県(73.5%)・鳥取県(73.4%)がこれに続いています。

労働力率が低いのは、奈良県が61.1%と最も低く、兵庫県(63.9%)・神奈川県と大阪府(64.4%)・埼玉県(65.6%)となっていました。
25歳~44歳の子育て世代に限って労働力率を見ても、同様の傾向があり、島根県(85.3%)・山形県(84.9%)・福井県(84.6%)・鳥取県(84.2%)・富山件(84.0%)でありました。子育て世代の労働力率が低いのは、奈良県(71.1%)・神奈川県(71.6%)・兵庫県(71.9%)・大阪府(72.6%)・埼玉県(72.9%)でした。

地域毎に、年齢別の女性の労働力率を示すと、図1-4のようになり、どの県もM字型の分布を示していました。(図1-4)

Figure1

Figure2

Figure3

Figure4

この中で、労働力率が高く、子育て世代での低下率(仕事から離れる率)が低い県の代表として、鳥取県を取り上げ、逆に労働力率が低く、子育て世代に仕事から離れる率が最も高い県である神奈川県を取り上げてみましょう。
未婚女性と結婚した女性の職に就いている割合は、鳥取県では年齢階層ごとに見た差が17.75であるのに対し、神奈川県では31.3%に達していました。ちなみに、未婚女性の労働力率は両県で大きな差はありませんでした。(図5)

Figure5

そして、重要な点は、それぞれの県の合計特殊出生率は、1.6 vs 1.31と大きな差がありました。
「仕事を続けやすい環境=子どもを産み育ててゆきやすい環境」
という事がはっきりと見て取れるデータといえるでしょう。