35歳が精子力の曲がり角

やっぱり、精子力は35歳以上で低下するのだ。

最新の、米国生殖医学会雑誌(Fertility and Sterility)に掲載された記事を解説しよう。Age thresholds for changes in semen parameters in men. Stone BA, et al. 2013 Jun 27. [Epub ahead of print]

5081人の精液所見と、259人の精子の染色体構成をFISH法で検討しています。精液検査を受けた人の半数は、代理母や卵子提供者などに用いる予定で、精子凍結を行なった人たちで、残りの半数は不妊外来通院患者でした。これまでの、精液所見と加齢の関係の研究には、非配偶者間人工授精(AID)の精子提供者の精液を用いたり、避妊目的のパイプカットを受けに来た患者の精液を用いたりしてきました。しかしながら、これらの対象では測定に用いる事が出来るサンプル数が少ないという欠点がありました。

この論文では、不妊外来患者に関しては、初回の精液検査であるものを採用しています。つまり、明らかに精液検査の結果が悪いために、不妊外来に紹介された患者は除外されているという事です。

精液検査は、精子濃度の高い場合は自動精液検査機で行ない、精子濃度が低い(700万/ml以下)は血球計算盤で測定しています。精子運動率は、自動精液検査機で行い、直線運動で運動速度の速いもののみを運動精子として採用しています。

また、精子の制止判定をeosin B染色で、精子形態判定をパパニコロー染色した標本で行なっています(strict criteria)。さらに、精子の染色体構成を13番・18番・21番染色体・X染色体・Y染色体を分別出来るFISH法で解析しています。これにより、精子が、半数体になっているのか、X染色体精子か、Y染色体精子かを区別して、その比率を出しています。

さて、結果です。禁欲日数は、3-5日するように指導されていたため、どの年齢でも差がありませんでした。

①総精子数は34歳、②総運動精子数は34歳、③総前進運動精子数は34歳、④精子濃度は40歳、⑤正常形態精子率は40歳、⑥精子運動率は43歳、⑦精液量は45歳、⑧生存精子率は45歳、⑨X精子に対してのY精子の割合は55歳、を境にしていずれも減少する事が判りました。

この中で、①~⑧はこれまでにも少数例を対象にして、データがありました。すなわち、精子力は35歳から衰えてきます。生殖に関わる力は男女ともに、35歳がターニングポイントになるのです。(画像をクリックして拡大)(Table 1)

Table-1-2013.7.30
Table 1 2013.7.30

この論文の、最も注目すべき点は、⑨の衝撃的なデータです。

なぜならば、46歳未満ではY染色体精子とX染色体精子の割合は、年齢を問わずに1.06であり、このために産児は男児:女児が1.05-1.06:1になっているからです。この論文の結果からは、56歳以上の父親の精子により出来た子どもは女児の方が多くなると言うことになります。

そういえば、中村富十郎(歌舞伎役者) 69歳 男子 74歳女子, 上原謙 (俳優) 71歳 女子 後年もう一人女子, 三船敏郎 (俳優) 62歳 女子(三船三佳), 岡田真澄 (俳優) 63歳 女子, ピカソ (画家) 68歳 女子(パロマ・ピカソ), チャップリン(俳優) 60歳女子 62歳女子 64歳男子 68歳女子 70歳女子 73歳男子、でしたね。

僕は、近著 –『男を維持する「精子力」』-の中でも述べているように、精子力は加齢とともに低下するのです。僕たちのデータを後押しする論文が、ついに出てきたことは大変励みになることです。

では、どのくらいのスピードで低下するのでしょうか?

①総精子数は35歳から毎年1.71%、②総運動精子数は35歳毎年2.30%、③総前進運動精子数は35歳から毎年2.61%、④精子濃度は41歳から毎年0.78%、⑤正常形態精子率は41歳から毎年0.84%、⑥精子運動率は44歳から毎年1.74%、⑦精液量は46歳から毎年1.48%、⑧生存精子率は46歳から毎年1.45%、⑨X精子に対してのY精子の割合は56歳から毎年5.05 %ずつ減少すると報告しています。(Table 1)

35歳を過ぎると、困ったことに毎年精子力が減少し続けるのです。

ここで、穿った考えですが、最近の姉さん女房率の上昇は、精子力の衰えていない男性を求めた、種の保存に対する自然の適応力が働いた結果かもしれませんね。

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