男児の妊孕性温存に関する情報です

精子形成の始まっていない男児が、悪性腫瘍に罹り、手術・抗がん剤治療・放射線治療を受けた場合の、将来の子どもを授かる見込みはどうなっているのでしょう?

精子形成がないのですから、もちろん治療開始前に精子凍結保存をすることは出来ません。
これらの患児が、治療の結果治癒した場合、子どもを授かる事がどのくらい出来ているのかを調べた研究は、国内にはありません。
St Jude Children’s Research Hospital(米国テネシー州メンフィス)からの報告によれば、診断時年齢が若年であるほど、将来に児を持てる可能性は低くなり、治療法別では手術・化学療法・放射線治療それぞれの単独療法よりも、化学療法と放射線治療の併用で、妊孕性が低下する事が示されています(表)。
国内でも、同様の研究・調査が行われると良いでしょうね。
次回は、精子形成前の男児の妊孕性温存の最前線について、解説します。

表 2017.7.7
table01

がん専門相談員向け妊孕性相談研修会が開催されました

一生の内に2人に1人はがんに罹る時代です。
誰にとっても身近な病気になっている「がん」です。
最近では、かなり多くの患者さんが治る(再発無く治癒する)病気でもあります。
患者さんの、治療後の生活の質(QOL: quality of life)を左右する様々な因子が有ることが知られています。例えば、仕事の問題や経済的な問題・精神心理的問題・運動制限や体力の問題など様々な事が、がんを克服した人々に負の影響を及ぼします。この中で、妊孕性(にんようせい:次世代の子どもを作る能力)の問題は深刻なものがあります。

本日(12月4日)、国立がんセンターで、がん患者さんたちの幅広い悩みの相談相手であるがん専門相談員さんたちを対象とした、がん患者さんの妊孕性温存に関するセミナーが開催されました。私も、1つのセクションの講義を担当いたしました。今後、がん診療拠点病院を中心に、急速相談の輪が広がって行くことが期待されます。


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朝日新聞に取材記事が掲載されました

■朝日新聞・朝刊

朝日新聞10月28日(金)の朝刊の総合面に取材記事が掲載されました。

このブログでも取り上げました、Human Reproductionに掲載されたベルギーのグループによる「顕微授精で生まれた男性の精子の濃度や運動している精子の数が自然妊娠で生まれた男性の精子より低かった」という研究報告についての記事です。

この研究結果から、「顕微授精で生まれた男性は、子をもつのに、父親と同様、不妊治療が必要になるのかは評価できない」こと、また、父親の精子の異常と子の異常の程度は必ずしも一致しなかったことから、「不妊の要因が遺伝するかは、より詳細な遺伝子分析が必要」とのコメントが紹介されています。


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*事務局

朝日新聞に取材記事が掲載されました

■朝日新聞・10月21日朝刊「がんと暮らし」

朝日新聞の10月21日の朝刊のシリーズ「がんと暮らし」欄に取材記事が掲載されました。

以下、リードから
————————–
がんにかかり、抗がん剤や放射線を使う治療が始まると、子どもをつくる機能に影響が出ることがある。「将来、子どもが欲しい」と願う患者の希望に沿い、生殖機能を保つために、がんの診療科と産婦人科などとの連携が進みつつある。事前に十分な情報を得て、患者自身や家族がよく考えて納得してから治療を始めることが大切だ。
————————–

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*事務局

顕微授精(ICSI)により誕生した男性の精液検査所見は?

精子濃度が低いとか、精子運動率が低いとか、総精子数が少ないとか、精子の形が悪いとかの男性因子での不妊症に対して、顕微授精(ICSI)が行われるようになって、20年あまりが過ぎました。

そこで、当然の疑問に、
『男性因子のためICSIをすることにより誕生した子どもたちが成人になったときに、自分の父親と同じように不妊症に悩み、やはり顕微授精(ICSI)が必要になるのか?』
という事があります。

これに、対するヒントになる論文が出ました。
世界に先駆けて、顕微授精(ICSI)での妊娠例を報告したTournayeらのベルギーからの論文です。
Semen quality of young adult ICSI offspring: the first results. Human Reproduction,pp.1–10, 2016 doi:10.1093/humrep/dew245

2013年から2016年にかけて、以前に顕微授精(ICSI)によって誕生した男性54人(18歳から22歳)と自然妊娠により誕生した男性57人(18歳から22歳)を対象として、精液検査の結果・身長体重や外性器の状態・日常生活習慣(喫煙や飲酒など)を2群で比較しました。

この結果、顕微授精(ICSI)で誕生した男性の方が、精子濃度・総精子数・総運動精子数が有意に低い事が判りました。(図1)

fig1


精子運動率、精液量、正常形態精子濃度には差がありませんでした。

また別の解析では、顕微授精(ICSI)によって誕生した男性は、自然妊娠により誕生した男性に比して、WHOの精液検査の基準値(精子濃度1500万/ml・総精子数3900万)を下回る危険性が検討されました。これによれば、精子濃度大幅に増大することが報告されました。すなわち、精子濃度1500万/mlを下回る可能性は2.7倍に、総精子数3900万を下回る可能性は4.3倍になるとのことです。

この論文で大変重要なことは、この結果から、男性因子により顕微授精で誕生した男性は、父親と同じく精子形成障害を引き継いでいるのだ。さらに、顕微授精で誕生した男性の場合は、自分の父親がそうであったように、子どもを得るには顕微授精(ICIS)が必要になるのだ。と結論するには飛躍があります。

精子形成障害のある父親から顕微授精(ICSI)で誕生した男性の妊孕能に関して、充分な根拠と持った結論を導き出すためには、次のような検討が必要になります。

① 男性因子以外により顕微授精(ICSI)が行われて誕生した男性の精液検査結果の解析。
② 父親の精液検査結果と顕微授精(ICSI)により誕生した男性の精液検査結果に相関関係がある事(今回の検討では証明されなかった)の証明。
③ 今後、精子形成を左右するgenetic, epigenetic factorの解析。

実際に、顕微授精(ICSI)で誕生した男性の妊孕性に関する大規模データが出るには、これらの男性が挙児を試みてしばらく観察する必要があるため、あと5-10年は待たなければならないでしょう。

今後同様な研究成果が続々と発表されることと思われますので、目が離せない状況です。

Yahoo!ニュース「深層クローズアップ」に掲載されました

■Yahoo!ニュース「深層クローズアップ」

Yahoo!ニュースの特集記事「深層クローズアップ」に取材記事、「精子力」は年齢とともに衰える――治療法、費用…「男性不妊」の現実が掲載されました。

以下、特集記事のリードから
日本では今、6組に1組の夫婦が不妊に悩んでいるという。なぜ、赤ちゃんができないのか――。原因は男性にもある。そして、専門医を訪ねる男性も少しずつ増えている。治療法はあるのか、費用はどの程度か。治療の先には吉報が待っているのか。男性不妊症をめぐる現場から報告する。(Yahoo!ニュース編集部)

深層クローズアップ・「精子力」は年齢とともに衰える――治療法、費用…「男性不妊」の現実

事務局

AERAに取材記事が掲載されました

■AERA・7月11日号/総力特集がん最前線

AERAの7月11日号の特集記事「いま知りたいがん新常識」の中で、取材記事「がんでも出産の希望を失わない」が掲載されました。

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※記事の画像をクリックすると別ウィンドウで拡大表示されます。

*事務局

埼玉新聞に取材記事が連載されました

■2016年6月8日、15日、22日・埼玉新聞/医療サイエンス「男性の不妊治療」

埼玉新聞の毎週水曜日掲載の医療サイエンス欄に6月8日から取材記事「男性の不妊治療」が3回シリーズで連載されました。

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※記事の画像をクリニックすると別ウィンドウで拡大表示されます。

*事務局

「スマホを使った精液チェック」が読売新聞で紹介されました

■2016年5月3日 読売新聞朝刊

獨協医科大学越谷病院と米国イリノイ大学の共同チームが「スマホを使い精子の数を時敏で確認できる器具」を開発したことを、本日の読売新聞の朝刊で紹介されました。少量の精液をスマートフォンで撮影し、精子の数を自分で確認できるというものです。自宅で気軽に使え、基準の数と比べることができることから男性不妊の早期発見を目的に開発されたものです。5月10日の米国泌尿器科学会で発表される予定です。

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*事務局 

朝日新聞に取材記事が掲載されました

2016.04.27 | 未分類

■2016年4月27日 朝日新聞朝刊

本日の朝日新聞朝刊の医療ページ「1分で分かる妊娠と出産[4]」にて、泌尿器科と産婦人科が連携した獨協医科大学リプロダクションセンターについての取材記事が掲載されました。特長として、男性へのより詳しく原因を調べられること、男女どちらの治療を優先するか検討しやすいことが挙げられています。

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*事務局

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