日本では、6カップルに1カップルに子どもがありません。
このことは、全カップルの1/6(約17%)が不妊症であるという事を意味しているのではありません。子どものないカップルの中には、2人の主義として子どもを持たないという場合も含まれているからです。このような、カップルの意思までも調べたような詳細な研究はこれまでに報告されていません。
さて、不妊に悩むカップル(この場合は、1年以上避妊をしていないセックスを行っているが子に恵まれないカップルと定義しましょう)は、どこから不妊症の診察・治療に関する情報を得ているのでしょうか?
考えられるのは、
マスメディアやインターネット
書籍
友人・知人・家族からの口コミ
医療機関
学校教育
というところでしょう。
東京大学のMaeda Eri先生たちのグループは、インターネット調査会社と協力して、不妊症に関する情報のリテラシーを検証しました。
具体的には、例えば、『妊娠する可能性は年齢が上がるほど低下する』という正しい知識を有していた3334人について、さらにその正しい知識を得た情報源はどこかをアンケート調査を行いました。
その結果、現在の生殖年齢はデジタルネイティブ世代(生まれたときからデジタル機器に囲まれて生活してきた世代)でる事を反映して、66%は情報源がマスコミやインターネット経由である事がわかりました(図:画像をクリックすると拡大表示されます)。
しかし、これらの情報源は、必ずしも正しい内容であるとは限りません。
特に、影響力のある有名人(芸能人など)の発する、ツイッター情報などには、思い込みや、自身の経験のみから導き出された、根拠のない情報が満載になっている場合もあります。問題は、本人が意識する、しないに関わらず、大きな影響を有していることです。
このように、気軽に手に入れられる情報があふれている時代だからこそ、正しい情報を選択するプロの力が必要になります。
獨協医科大学越谷病院リプロダクションセンターのような大学附属施設には、これまで以上にしっかりした根拠のある情報のキュレーションと発信が求められています。