不妊カップルのセックスの回数はどのくらいなのですか?

不妊に悩むカップルは、不妊期間が長くなればなるほど精神的ストレスが多くなり、婚姻関係を維持することが困難になったり、生活の質が落ちることが知られています。

よく患者さんから質問される内容です。また、多くのツイッター記事やブログ記事が、ネット上を飛び交っています。

さて、真実はどうでしょう?

私たちのデータでは、興味深い結果が出ています。セックスの回数は年齢に応じて段々少なくなって行くことは、想像がつくことですね。年代で違いがあるのでしょうか?

治療開始する前(精液検査する前・パートナーにタイミング法の指導や人工受精が行なわれる前)の不妊カップルの男性(20歳から45歳)に調査しました。1985年に340の不妊カップルに2005年に565の不妊カップルに、セックスの回数を聞き取り調査しましたものです。

すると、1985年では20歳台で6.8回/月であったものが40歳台では1.5回/月に減少しました。これに対して、2005年の調査では20歳台で4.4回/月であったものが40歳台では1.1回/月に減少しました。いずれの年代でも1985年よりも2005年の方がセックスの回数が少なくなっていたのです。平均して5.5回/月から2.8回/月に半減したのです。

さらに調査すると、タイミング法やAIHによる治療が始まると全ての年代で、1回以下/月に激減するのです。

あなたの場合はどうでしょうか?

さて、外国の場合はどうなっているのでしょうか?この答えは、最新のアメリカ生殖医学会のオフィシャルジャーナルFertility & Sterilityに掲載されたPerisらのトロントの不妊カップルを対象としたデータにあります。(Peris N. et al. Coital frequency and infertility: which male factors predict less frequent coitus among infertile couples? Fertil Steril 100: 5-11-515, 2013)

この論文の結果によればは、不妊カップルの平均セックス回数は7回であり、これは不妊以外の人が入った一般のカップルのセックスの回数と同じである事が判りました(なんと40回/月の人もいます)。(画像をクリックして拡大・Fig.1)
スライド1
Fig12013.9.10
セックスの回数に影響する因子は、年齢・不妊期間・性機能・精子濃度であると報告しています。(画像をクリックして拡大・Table 1)
スライド1
Table 1 2013.9.10

日本での、詳しいデータはありませんので、現在解析中です。少なくとも、1985年の時点ではPerisらのデータに近いものがあります。私たちのデータが論文になりましたら、改めて報告します。

コエンザイムQ10(CoQ10)は精子力を上げるのですか?

サプリメントの中には、大きく分けて食品などから有効成分を抽出したものと有効成分を化学合成したものがあります。

前者の代表が、ピクノジェノール・トンカットアリ・マカ・セサミンなどです。後者の代表はビタミン類(Vit. C, Vit E)やコエンザイムQ10(CoQ10)などです。

前者の場合は、一般的に有効成分の含有量が少ないため、多量(錠剤やカプセルの場合1日10錠や10カプセル以上)を飲む必要があります。これに対して、後者の場合は有効成分そのものを用いるため、錠剤やカプセルの飲む量を1日2錠や2カプセルに減らすことが出来ます。

私たちは、CoQ10に着目して、20年ほど前から医科用のCoQ10としてノイキノンを男性不妊患者に自由診療で用いてきました。ノイキノンは10mg錠ですので、1日6-9錠を服用して頂き、運動性の改善効果を認めてきました。特に、精索静脈瘤患者には有用性が高いため、手術前の期間に服用して頂いていました。(画像をクリックして拡大・Fig. 1 unpublished data)
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Fig. 1 2013.9.7

最新のCoQ10と男性不妊に関する報告をご紹介しましょう。

イタリアのFesta,RらがAndrologiaに発表したものです。(Festa R, et al. Coenzyme Q10 supplementation in infertile men with low-grade varicocele: an open uncontrolled pilot study. Andrologia. 2013 Aug 22. doi: 10.1111/and.12152. [Epub ahead of print])

19歳から40歳の、grade Iないしgrade IIの精索静脈瘤以外に原因の明らかでない男性不妊の患者に、CoQ10を100mg/日投与して、精液検査のパラメータの変化と精液の総抗酸化能を、投与前後で比較しました。

12週間の治療前後で、精子濃度・精子運動率が有意に改善し、精液の総抗酸化能は有意に増加したと報告しています。(画像をクリックして拡大・Table 1)
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table 1 2013.9.7

この論文で重要なのは、以前に無力精子症(asthenozoospermia)の男性不妊患者さんに、CoQ10とプラセボ(偽薬)を飲んでもらった二重盲検試験(最も厳しい臨床試験)で効果の確かめられていたCoQ10の使用を、精索静脈瘤患者さんに限定しているところです。(Balercia G, et al. Coenzyme Q10 treatment in infertile men with idiopathic asthenozoopsermia: a placebo-controlled, double-blind randomized trial. Fertil. Steril. 91: 1785-1792, 2009)

これは、精索静脈瘤患者さんの精巣内には酸化物質が増加しているために、これを打ち消す役割を果たすCoQ10が有用であると主張する私たちのデータを補完するものになりました。

現在、さらに抗酸化作用を強化したサプリメントが、精子力向上に有用である事を示したデータを投稿中です。出版されましたら、改めてご紹介いたします。

職場の環境は精子力に影響しますか?

男性不妊外来患者さんから、よく尋ねられる事に、自分の働いている環境が男性不妊の原因になっていないか?と言う質問があります。

これに対する、疫学調査がこれまでにも行なわれていますが、全く異なった結果が出ている2つの報告をご紹介しましょう。

エジプトからの2010年の報告です。(El-Helally, M. et al. Workplace exposure and male infertility-A case-control study Int. J Occup. Med. Envir. Health. 23: 331-338, 2010)

不妊を主訴に来院した男性患者で精液検査の結果の異常のあるものを、男性不妊群として、対照群は同施設を出産のために訪れている人のパートナーで精液検査結果に異常のないものとしています。
不妊群と対照群には、年齢差は無く、教育程度・収入・住んでいる地域(都会か田舎か)などの社会経済的背景に大きな差がありませんでした。

この調査結果、有機溶媒やペンキ・鉛・コンピュータ端末・シフト労働・仕事のストレス・喫煙・肥満度(BMI)が不妊要因として抽出されてきました。((画像をクリックして拡大・Table 1)
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Table 1 2013.9.1

これらは、これまでの論文でもたびたび指摘されてきた事柄です。

では、もう1つの論文ではどうでしょうか?

アメリカからの2005年の報告です。(Gracia CR. Et al. Occupational exposure and male infertility. Am J Epidemiol 162: 729-733, 2005)

12ヶ月以上の不妊歴があり、パートナーに婦人科的異常のない精液検査に異常のある無精子症でない人(過排卵させて人工受精を行なう臨床試験参加者のパートナーから抽出)を男性不妊群として、対照群は2年以内にパートナーが妊娠したひとで精液検査結果に異常のないひととしています。

この結果は、先の論文で指摘されたような有機溶媒やペンキ・鉛・コンピュータ端末・シフト労働・仕事のストレス・喫煙・肥満度(BMI)は不妊要因とはならず、コンピュータ端末と放射線暴露が、正常群が有意に不妊群よりも多い(男性不妊にはむしろ良い方に働く)結果となりました。((画像をクリックして拡大・Table 2)
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Table 2 2013.9.1
なかなか、受け入れがたい結論ですが、このような差はどうして生まれるのでしょうか?

それは、研究対象の抽出法にあります。疫学研究には最も大事で結果に大きな影響を及ぼす事です。例えば、運動量と体重の関係を調べる事は、比較的たやすく出来ます。なぜなら、測定する項目が肉体的にも精神的にも難しいものではありません。しかし、精子力を判断する精液検査が関連するとそうはいきません。精液検査は一般には行なわれていない検査で、正常群の抽出に偏りがでます。つまり、パートナーが妊娠した人に頼むわけですが、これを承知する人の割合は1/3程度で、かなりの人が辞退されます。つまり、パートナーが妊娠していて精液検査に応じてくれた人という偏りがあるのです(セレクションバイアスと言います。)研究対象を選ぶときに、精液検査が入ると疫学研究が難しくなる事は、お分かりいただけたと思います。

さて、今回の結果はどう解釈すれば良いのでしょう。

男性不妊患者さんには、「環境因子の精子力に与える影響に関しては、確実な報告はまだでていません。お仕事そのものを変えるは難しいでしょうが、これまでに悪いとされてきた要因は避けるようにするのが賢明でしょう」とお伝えしています。
医学は科学です、しかし、動物実験のように割り切れないのが、不妊症分野の疫学研究です。

「zakzak」に掲載されました

情報サイト「zakzak」に掲載されました。

【日本の精子力は危機】(上)自転車通勤はEDのリスク高まる!?
2013.08.28

* * *

勃起力だけ気にしていてはいけない、精子力こそ男にとって大切なもの―というわけで、
精子力のために男が心がけるべきポイントを、岡田先生から特別に伝授してもらった。
まさに、ホンマでっか? が目白押しの下半身問題に迫る。(記事より)

* * *

zakuzaku_g画面_0130828(zakzak画面)

本日発売の「日刊ゲンダイ」に取材記事が掲載されました

■「日刊ゲンダイ」8月28日発売号

本日発売の「日刊ゲンダイ」に取材記事「「膣内射精障害」が多い職業は…?」が掲載されました。

日刊ゲンダイ_130828_02

 

 

 
事務局

 

精子と卵子の対談!?

2013.08.28 | お知らせ, 制作裏話

こんにちは。事務局です。

先日、Dr.岡田と
ジャーナリスト・河合 蘭さんの対談を行いました。

河合さんの著書『卵子老化の真実』(文春新書)は、大きな話題になっています。

精子の老化について研究をすすめるDr.岡田との刺激的な対談の様子は、当サイトにて公開予定です。
どうぞ、お楽しみに!
対談01_130820
book_01_130822







「精子の老化」と「卵子の老化」に関する、必読の二大書!

『男を維持する「精子力」』好評発売中! 

男性不妊にマカはどうですか?

男性不妊外来に通院中の患者さんに尋ねると、実に様々な栄養補助食品(サプリメント)を服用しています。この中でも、ダントツに多いのが「マカ」であります。

マカはどんなサプリメントなのでしょう?

Lepidium meyeniiという学術名で呼ばれる植物の胚軸を乾かしたもので、古くからアンデスの高地に、滋養強壮剤として原住民に用いられてきた薬草です。乾燥した堅い胚軸を、粉末にしたりお湯で煮出したりしたエキスとして、用いられてきました。
南米各地をスペイン人が占領するに伴って、この植物の存在がヨーロッパに伝えられ、薬用に用いられるようになったのです。
さて、どんなところに生息するのでしょう。実は、ペルーのアンデスの中央部のJunin州のCarhuamayo地方と呼ばれる、標高4100mの高地に自生しているものなのです。(画像をクリックして拡大・Fig.1)
Fig-1-2013.8
Fig. 1 2013.8.27

この、厳しい環境に育つマカは大きく分けて、black, yellow, white macaの3種類があります。

そして、この中で滋養強壮に有用なのは、black maca(黒マカ)である事が知られています。


Fig-2-2013.8
(画像をクリックして拡大・Fig. 2)
Fig. 2 2013.8.27

ペルーからのレビュー論文(Gonzales GF Ethnobiology and Ethnopharmacology of Lepidium meyenii (Maca), a Plant from the Peruvian Highlands. Evidence-based Complementalry and Alternative Medicine 2012:193496. doi: 10.1155/2012/193496.)

実際に、標高4100mのCarhaumayoの住人を調査した結果、健康状態がマカの抽出物(エキス)を飲んでいる人が飲んでいない人よりも、40歳から70歳代の全ての年代で良好であった事が報告されています。(画像をクリックして拡大・Fig. 3)


Fig-3-2013.8
Fig.3 2013.8.27

いかにも精力を上げるのに役立ち、精子力も上げそうな気がするのですが、これまでに、動物実験ではどのような効果が照明されているのでしょうか?





 

Table-1-2013.8
Table 1に示しましたようにTable 1 2013.8.27、ラットやマウスやモルモットといった小動物では、精子数の増加や性行動の活発化などが報告されています。ウシのような大動物では、精子数と精子の質の向上が報告されています。さて、肝心なヒトの場合はどうでしょうか?

ヒトにおいては、ペルーでは古来から不妊の治療薬として用いられてきたようですが、現在マカが精液検査結果に影響を与えたとする論文は、ペルーからの1本しかありません。(Gonzales GF, et al. Improved sperm count after administration of Lepidium meyenii (maca) in adult men. Asian J of Andrology.3: 301-304, 2001)

しかも、たった9人のもともと精液検査で異常が無い人にmacaを4ヶ月服用してもらい、服用前の精液検査と比較したというものです。その結果は、精液量・総精子数・運動精子濃度・精子運動率が改善したと述べています。(画像をクリックして拡大・Table 2)
Table-2-2013.8
Table 2 2013.8.27
しかし、その解析方法・サンプル数から見て到底、科学的根拠になるものではありません。
もう一つ大事なことは、これまでのマカの動物実験の論文にせよ、ヒトに対する効果を検討した論文にせよ、いずれもペルーの4000m級の高地で産生されたマカを用いているのです。

現在、日本国内で流通しているマカは、ほとんど低地栽培のマカであり、しかも多くがblack maca(黒マカ)ではありません。

すなわち、現時点ではマカが精液検査を改善したり、精子力を改善するという事を支持する根拠はありません。もう少し、慎重な解析結果がでてから、お使いになった方が賢明でしょう。

急に精子濃度が低くなりました

不妊症に治療中に精液検査を受けることは、治療方針を決める上でも重要な事ですので、多くの人が疑問をもたないことでしょう。頻回に精液検査が行なわれている例として、人工受精(AIH)中の患者さんカップルのことを例に取ってみましょう。

A夫さん(38歳)とB子さん(34歳)夫婦は、A夫さんの射精障害のために3年間の不妊期間を経て、不妊治療を行なっているクリニックを受診しました。そこでの、精液検査の結果では、精液量3ml、精子濃度4500万/ml、精子運動率75%、正常形態精子率25%(strict criteria)と異常を認めませんでした。射精障害の治療は行なわずに、まず一人目の子どもを授かりたいとして、人工受精を5回受けていました。この約8ヶ月の間に、精液検査の結果が段々悪くなったために、泌尿器科に紹介されました。(画像をクリックして拡大・Fig. 1, 2)
Fig. 1 2013.8.26
Fig 2 2013.8.26

初めは、4500万/mlの精子濃度は100万/mlに、精子運動率は75%が10%に激減しています。

さてここで注意をする必要があります。5回目の人工受精の時のように、精液検査の結果がとても悪い場合は、顕微授精を勧められるのではないでしょうか?

A夫さんは、幸いなことに泌尿器科受診を勧められました。精巣の超音波検査を行なうと、なんと直径5mmの精巣がんが見つかったのです。(画像をクリックして拡大・Fig. 3)A夫さんは、早速手術で精巣がんのある精巣を摘出しました。病理結果は、セミノーマで初期のがんであったため、追加の治療は必要ありませんでした。手術以後に、精巣は1つになったにもかかわらず、精液検査の結果は改善して、7回目の人工受精で妊娠が成立し、無事に女児を授かりました。Fig. 3 2013.8.26

精液検査の結果が不良な不妊症男性の場合、精液検査結果が正常な不妊症男性と比べて、精巣がんの頻度は1.6倍になると報告されています。(Jacobsen R, et al. Testicular cancer in men with abnormal semen characteristics: cohort study. BMJ 321: 789-792, 2000)

また、男性不妊の患者さんの精巣がん発生率は、子どものいる男性の20倍高いことが彷徨されています。(Raman JD, et al. Increased incidence of testicular cancer in men presenting with infertility and abnormal semen analysis. J Urol. 174: 1819-1822, 2005)

日本での精巣がんの頻度は、人口10万人あたり1-2人ですから、男性不妊患者さんの場合は、2500人から5000人に1人ということになります。しかし、この数字は、全男性人口での値ですので、生殖年齢(20-40)の男性に限って言えばさらに頻度は上昇し1000人から2000人に1人という数字になります。実際、我々の施設では、年間の男性不妊の新患数が1500人で、毎年1-2人の精巣がん患者が、発見されています。ほとんどの患者さんは早期がんで見つかるため、手術療法以外の追加治療がいりませんでした。

精液検査の結果が悪化した場合は、不妊治療をステップアップする前に、必ず泌尿器科専門医を受診しましょう。

季節によって「精子力」が変化するってホント?

男性不妊外来の診察では、精液検査が重要な検査になります。しかし、この値は、前回(2013年7月19日の精液検査の落とし穴Part 1.)にも書きましたように、精液の採取場所・時間・年齢・禁欲時間によっても大きな影響を受けます。

もう一つ大事な要素は、季節による差です。動物の場合は、繁殖シーズンがはっきりしていて、この時期以外は交尾回数も減りますし、妊娠は通常起こりません。ヒツジやヤギでは、繁殖シーズン以外では精巣(睾丸)の容積が小さくなりますし、下垂体から精子を作りなさいと命令するホルモンであるLH, FSHも50%低下する事が知られています。

さて、同じ事がヒトにも当てはまるのでしょうか?

まず、日本での出生率の季節変動を、見てみましょう。

①厚生労働省人口動態総覧からみた、月別出生数(画像をクリックして拡大・Fig.1)
7月8月9月と夏真っ盛りから、初秋にかけての出産数が多いことが判ります。
Fig. 1 2013.8.21

これを四季に分けてグラフにしてみると夏・秋が春・冬に対してずいぶん多いことが判ると思います。(画像をクリックして拡大・Fig.2)

Fig.2 2013.8.21

ヒトは、他のほ乳類ほどは繁時期がはっきりしていません。この原因はどこにあるのでしょうか。出生の季節から見ると、性交して妊娠したのは、その前年の秋から初冬にかけてであることが判ります。

それでは、精液所見(精液量・精子運動率・精子運動速度・正常形態精子率・禁欲日数)に季節変動はあるのでしょうか?

これに関しては、最新のイスラエルからの論文がでました。Levigu E, et al. Seasonal variations of human sperm cells among 6455 semen samples: a plausible explanation of a seasonal birth pattern. Am J Obstet Gynecol 208:406. e1-e6. 2013です。

彼らは、解析に当たり4060サンプルの精子濃度2000万/ml以上の正常精子濃度検体と1495サンプルの400万~19990万/mlの乏精子症検体に分けました。
この結果、精液量や禁欲日数は季節変動しないのですが、精子濃度は冬から春に上昇し、総運動精子濃度は夏から秋にかけて上昇しました。ここで注意が必要なのは、自然妊娠に大きな影響を持っている高速運動精子は秋から冬にピークを迎えたという事です。さらに、自然妊娠に重要な正常形態精子率はやはり冬が高いということです。(Table 1)

総合的に見ると、「精子力」は春から夏に向かって低下し、秋から冬に上昇すると結論されています。正常精液所見の男性から生まれた子どもの数は、これを実証するように、このイスラエルの施設では、夏から秋にかけて上昇する事が判りました。(画像をクリックして拡大・Fig.3)

Fig.3 2013.8.21

一方、乏精子症のサンプルでは、精液量・禁欲日数・高速運動精子率には季節変動は無く、総運動精子率は秋に高値と成りましたが、これは、自然妊娠に寄与することが少ない低速運動精子率が増加した事によるものでした。さらに、正常形態精子率は春と秋に高くなるなど、季節毎に精液所見の各パラメーターが連動して動く結果とは成りませんでした。(画像をクリックして拡大・Table 1)

Table 1 2013.8.21

そこで、著者らは精子濃度が2000万/ml以上の不妊カップルの場合は冬に、1990万/ml以下の不妊カップルの場合は、春と秋に子作りに励むことを奨励しています。

さて、いかがなものでしょうか?
と言いますのは、この研究の結論には問題点があります。①1年間の気温差が比較的小さいイスラエルでなされたこと、②季節による性交回数が考慮されていないこと、です。
より、四季の区別のはっきりした日本でのデータを作る必要があります。

次回は、季節による性交回数の変化について解説します。

「男性不妊百科」制作中

2013.08.17 | 制作裏話

こんにちは。
今日のブログは事務局から、書籍・サイト制作の裏話をお届けします。

ただいま、本サイトのコンテンツ「男性不妊百科」の公開に向けて、作業を進めています。

Dr.okada_会議02_130319 Dr.okada_会議01_130319 打ち合わせ _2013:06:26_01

どんな内容にするか、どんな画像や図版を使うか・・・・・・などなど、
打ち合わせを重ねて、制作にあたっています。

公開まで、しばしお待ちくださいませ。

「ズバリ! 100問100答」は、随時更新。

Dr.岡田に質問がある、聞いてみたい、相談したい!
という方は、上記ページの右にあるフォームより、お申し込みください。

「精液検査をしたら、精子の数が標準より少ないと言われてしまった・・・・・」

「まだ病院には行っていないけど、心配なことがある」

「精液検査や不妊治療に戸惑いがある」 ・・・・・・などなど

お気軽にお寄せください。

いますぐできる、元気な精子を保つ生活。
「精子力を高める7カ条」も、ぜひ参考にしてください。

次回の更新をお楽しみに。

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